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「銀魂」考 第1回 植民地化された「サムライの国」、その世界観

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「銀魂」考 第1回 植民地化された「サムライの国」、その世界観
前回「「銀魂」考 前口上」からの続き。

「侍の国」僕らの国がそう呼ばれたのは今は昔の話。
かつて侍達が仰ぎ夢を馳せた江戸の空には、異郷の船が飛び交い、
かつて侍たちが肩で風を切り歩いた街には、今は異人がふんぞり返り歩く。
それがぼくらの世界、それが僕らの街。

銀魂の第一巻の冒頭(アニメでは第3話~)、こんな設定説明のナレーションによって、この長い物語は始まる。
銀魂・天人1

結論からいえば、天人とは外国人のことであり、日本は植民地状態にあるという設定である。
「江戸幕府が続いていたら」「明治維新が達成されなかったら」日本はどうなったのか、そんな歴史IFモノ、歴史SF小説あるいは歴史改変モノマンガなどでよくある設定だといえるかもしれない。
だが、「銀魂」が他のものと違うのは、護るべき「たましい」を全面に出している点にあるだろう。(これは次回で)

さて、日本が明治維新を成功させることができなかったら、確実に欧米諸国に植民地にされていたことでしょう。
幕末・明治維新運動とは、日本が欧米諸外国(つまり白人・キリスト教国)の支配下に置かれないためにはどうすればいいのか、その一点にあった。
尊王攘夷派も、開国派も、公武合体論も、方法は違えど、植民地にされないためにはどうすればいいのか、公家も幕府の要人も幕末の志士たちも、その目的は一つだったといえる。
それはアジア諸国が欧米諸国に食い荒らされる状況を見れば明らかで、日本もやがて侵食されると危機感を募らせていたのだ。
高杉晋作は上海視察に行き、清国が半植民地状態にある様を見て衝撃を受けた。そして日本をどう守ればいいのかを考えた…。
宮永孝「高杉晋作の上海報告」(新人物往来社)から引いてみましょう。
高杉

清国は、アヘン戦争(1839~42年)に敗れた結果、南京条約によって上海を開港場の一つとせざる得なくなり、以後英米仏などの列強諸国の植民地主義にむしばまれ、「租界」という特異な居住区が形成された。

上海の租界は清国の土地であっても、そこに住む清国人は外国人の陰でひっそりと暮らさねばならなかった半面、外国人はわが物顔にふるまっていたようで、その様子を目の当たりに見て日本人は上海が西洋人優位の世界であり、清国人は屈辱的地位に置かれていることを認めざるを得なかった。
「支那人はことごとく外国人の便役のため、英法の人(英仏人)市(まち)を歩行すれば、清人(清国人)皆避けて傍らに道を譲る、実に上海の地は支那に属するといえども、英仏の属地というもまた可なり」(高杉晋作「上海掩留日録」)

(高杉ら視察団の船)千歳丸が長崎へ向けて帰帆したときの水先案内人(清国人)は、そばでアヘンを吸ったために日本人に不快を与えたばかりか、かれらを憤激させ(つまり逆ギレ)、また道台府の下級官吏は日本使節一行が同所を訪れたとき、衣服に触り品質を評し、草履をあざわらい、預けた日本刀を密かに抜こうとしたり、あげくの果ては饗応に出された残り物の菓子をくすね、残酒も盗み飲みしたという(納富介次「上海雑記」)。
その後日本人は何度も道台府を訪ねているが、そのときは掃除が十分に行き届いていない上に、廊下には便器の馬桶が置かれ、庭先には古着が晒してあったという。
こういったものを目の当たりにし、幕吏とその従者は中国官庁とそこに勤める官人の堕落と低劣ぶり、道徳の荒廃などを痛感したようだ。

高杉は、外国人に使役されている清国人の下層労働者の姿を目の当たりに見て、哀れを感じ、これは清国に限ったことではなく、状況次第では日本でもあり得ることと痛感し、外国に隙を与えず、防備に努めねばならぬ、と国防意識目覚める。(高杉「航海目録」五月六日付の条の「上欄外記」)

清国の居住を見ると、貧しい者が多く、その不潔さには目を覆いたくなる。高杉は清国がなぜゆえにここまで衰微したのか。その理由を考えてみる。かれの観るところ、清国人は徒に固陋の説を唱え、昔からの習慣にとらわれ、新しい考えを取り入れなかったからである。何よりも外敵(外国人)を防ぐ道を防ぐ道を講じず、軍艦や大砲の製造に力を注がなかったことによる。
あまつさえ清国は、本来外夷(敵)であるべき外国人に長髪賊討伐のための援兵を請い、上海などは清国の領土ながら、まるで英仏の属地のような観があり、港税の一部すら外国人に掠め取られている。上海の形勢は単に清国だけに限ったことではなく、われわれ日本人も外敵を撃ち払うことに意を用いなければならない。とくに蒸気船の製造こそ急務であると考えた。
高杉は列強の擬植民地のような上海の実情を見て活眼を開き、少なからず衝撃を受けたことはいうまでもない。が、心の中では幕府の消極的な対外政策にさげすみと焦慮を感じたものに違いなく、上海渡航を契機として一層愛国意識にめざめるのである。日本も上海の二の舞を演じ、諸外国の植民地になってはならぬと痛感した。

この不安を幕末の志士は感じ、それが明治維新への原動力となる。
つまり、「銀魂」世界では、これが成らず、半植民地状態の清国が日本に置き換えられて描かれていることになるのだ。
アニメ銀魂「13話」では天人(宇宙海賊はるさめ)がクスリを地球(江戸つまり日本)に蔓延させ、日本国民を荒廃させている様子が背景として描かれている。(ギャクメインだが、その背景はかなり深刻。)
まるで、清国をアヘン漬けにしたイギリスのようにだ。
銀魂・桂2
(ヤバイクスリを蔓延させている天人から、クスリを奪い取った桂小太郎(モデルは桂小五郎)。初期のころの桂はカッコよかった)

アニメ・マンガの初期のころはこういった設定で話が進んでいたが、いまでは「天人」さえもあまり出てきません。しかし、「銀魂」世界ではこの設定が根底にあります。それは、OP・EDで「攘夷戦争の銀時」や「ターミナル」がしっかり描かれていることで、基本的設定は守られているということが分かります。
銀魂 攘夷

では、天人(つまり外国人)などのセリフから拾ってみましょう。(アニメ第3話から)
「侍も剣も、もうとっくに滅んだんだよ。それをいつまで侍気取りですか、てめぇは」
「あ~最近の侍を見ていると哀れでな、我々がここに来たばかりのころは、事あるごとに侍がつっかかってきたもんだが……」
「哀れやの、昔は国を守護する剣だった侍が、今や娘一人護ることができないナマクラや、おたくらに護れるものなんてないで、この国も空もわし等天人のものや。」
銀魂・天人3

「20年前突如江戸に舞い降りた異人・天人。彼らの台頭により侍は弱体化の一途をたどった。剣も地位ももぎ取られ、誇りも何もぼくらは捨て去った。いや侍だけじゃない、この国に住まう者はきっと、もう……。」(これは、新八のセリフ)

次がアニメ5話の桂と銀時の会話。
「天人との戦で活躍したかつての英雄も、天人様々の今の世の中じゃただの反乱分子か」
「この国を汚す害虫“天人”を討ち払い、もう一度、侍の国を立て直す。我々が行うのは国を護るがために攘夷だ。卑劣なテロと一緒にするな」
「攘夷とは二十年まえの天人襲来の時に起きた外来人を排そうとする思想で、高圧的に開国を迫ってきた天人に危機感を感じた侍は彼らを江戸から追い払おうと一斉蜂起して戦ったんだ。でも天人の強大な力を見て弱腰になっていた幕府は、侍達を置き去りに勝手に天人と不平等な条約を締結。幕府の中枢を握った天人は侍達から刀を奪い彼らを無力化したんだ。その後、主だった攘夷志士は大量粛正されたってきいたけれど…、まだ残っていたなんて」(これは新八のセリフ。新八が突っ込み役だけではなく、物語の語り部役=新八目線で物語が進行していることが分かる。つまり「銀魂」は新八の成長物語でもある。これは次回以降)
銀魂・天人2

「…銀時、この腐った国を立て直すため、再び俺と共に剣をとらんか」
「俺たちの戦はもう終わったんだよ」
「俺たちの戦はまだ終わってなどいない。貴様の中にとてまだ残っていよう銀時…、国を憂い共に戦った同志たちの命を奪っていった幕府と天人に対する怨嗟の念が…。天人を掃討し、この腐った国を立て直す、我等生き残った者が死んでいった奴等にしてやれるのはそれぐらいだろう。我等の次なる攘夷の標的はターミナル。天人を召喚するあの忌まわしき塔を破壊し、奴等を江戸から殲滅する。」
銀魂・塔3
「ターミナル」、この塔は「銀魂」世界において重要なものとなっている。(第4回で)

「…桂ァ もうしまいにしよーや。てめーがどんだけ手を汚そうと、死んでいった仲間は喜ばねーし、時代も変わらねぇ、これ以上うす汚れんな」
「うす汚れたのは貴様だ、銀時。時代が変わると共にふわふわと変節しおって、武士たるもの己の信じた一念を貫き通すものだ」
「お膳された武士道を貫いてどうするよ。そんなもんのためにまた大事な仲間を失うつもりか。俺ァ もう御免だ。どうせ命張るなら俺は俺の武士道を貫く。俺は美しいと思った生き方をし俺の護りてぇもんを護る」
銀魂・天人と戦う銀さん
攘夷戦争や子供時代の経験が銀時の背中に覆いかぶさる。銀さんはこういう過去を背負っている。どんなに下品で、下らない話ばかりでも、この基本的人物設定があることによって、坂田銀時というキャラは深いものになっている。

次が、アニメ143話の天人・鳳仙のセリフ。
「所詮、われら天人から国さえ護れなかった貴様らサムライに、我が鎖断ち切ることなど出来るはずもなかったのだ。獅子は縄張り争いに負ければ、縄張りとともに己の所有するメスをも明け渡す。分かるか!貴様らサムライにはもう居場所も、その手で女を抱く権利もすらもありはしないのだ。とっくの昔に縄張りもメスもみなわし等のモノになってしまったのだから…、そう、この街も女たちも、日輪もすべてこの夜王のモノ。
奴らはわしの鎖につながれた飼い犬だ。どこにも逃げらぬはせぬわ。そして貴様ら負け犬にこれを止める権利はない! 悪いのは何も護ることのできなかった貴様ら弱者なのだからな。負け犬なら負け犬らしく指をくわえて見ておればよいのだ。この国が女たちが我等強者に蹂躙される様を!先に逝った仲間たちと一緒に、あの世でな!」
かなり辛辣ですが、植民地状態とはこういうことを言うのでしょう。
これは、アニメ・マンガだとバカにしていけませんよ。現実にこうなれば、領土もカネも女も実際奪われるのですから……。

さて、そんな天人にサムライ魂を持った銀さんは言います。
「負けてなんかいねぇよ、俺たちは…今も戦ってるよ!」
銀魂・かっこいい銀さん

画像は、アニメ第27話から。天人相手に銀さんは「こんなもんじゃ、俺のたましいは折れねーよ」と言って剣を振るう。(木刀ですが)

「侍が動くのに理屈はいらねーさ。そこに護りてぇもんがあるなら剣を抜きゃいい。」と銀さんは言った。
現代の日本人はどうでしょうか。日本でサムライは滅んだのか? 「たましい」は失くしてしまったのか?
三島由紀夫は「日本はなくなり、無機質な、からっぽな、ニュートラルな、抜目がない経済的大国が残るであろう。」という予言めいた言葉を残して自刃した。
関連記事 「守るべきは日本文化! サブカル好きもポップカルチャー好きも、神社に集う歴女もアニオタも、みんな三島由紀夫が命に代えて主張したことを聴け!
サムライ魂はいまや消えてしまったのか……。
「銀魂」第13話にこんなセリフがあります。
新八「ここはサムライの国だぞ、お前たち出ていけ」
その言葉に対して天人は「サムライだぁ? そんなものこの国にはもういねえー」と。

井沢元彦「逆説の日本史17 江戸成熟編」から。

最近は歴史ブームで、「幕末史」などの研究本も盛んに刊行されている。しかし、私が見る限り、多くの識者がほとんど気付いていない、一つの「奇跡」が幕末史にはある。
幕末とはあ、日本が欧米列強つまり外国の侵略にさらされた時代である。一般に、ある国が外国の侵略を受けた場合、国の中に外国勢力と結んで私腹を肥やそうとする輩が必ず出る。いわゆる民族の裏切り者であり、売国奴という連中だ。人類の歴史では、そういう悪人が出るのが常識と言っていい。これは洋の東西を問わず存在する現象だ。特に国内が小勢力の分立状態である場合、そういう裏切り者が出る可能性が高い。
ここで日本の幕末を思い出して頂きたい。あの時、日本は俗に「三百諸侯(実数は260前後)」と呼ばれる大名という小勢力の分立状態であった。将軍家と大名家、あるいは大名同士の対立抗争もあった。いわゆる大商人の競争もあった。
しかし、外国勢力と結んで領土を拡張しようとか、私腹を肥やそうといった大名、大商人が一人でもいたか、思い出して頂きたいのである。
外国の君主が最後の将軍徳川慶喜の立場にいたら、たとえば北海道を全部フランスに割譲し、その見返りとして全面的な軍事援助を求めたかもしれない。そうなれば、日本は薩長と組んだイギリスとフランスの代理戦争の場となり、京都や江戸は焦土となり、サッポロはフランスワインの名産地になっていたかもしれないのである。
決して大仰な話ではない。あの時、薩長両藩は朝廷から倒幕の密勅(天皇の秘密命令)を出させた。そこには「慶喜を殺せ」と書かれていたのだ。いくら密勅とはいえ、そのことは当然慶喜の耳にも入ったはずだ。こういう時、洋の東西を問わず権力者は「国を売ってもいいから命だけは助かりたい」と願う。それが世界の常識だ。
しかし、日本人そうしなかった。
そういう人間は見事に一人も出なかった。
これは世界史の常識では有り得ないことだ。

現代の日本は国を売る人であふれている。
つまり、今、日本で幕末のような事態が起こったら、確実に植民地状態に陥るということです。
え、もうある意味植民地状態じゃねの?
そういえばそんなことを言った政治家がいましたよね。
過去記事「「やむにやまれぬ大和魂」 sengoku 38は現代の吉田松陰だ。そして「日本の中国への属国化は今に始まったことではない」という官房長官。

……続く。
次は、第2回 なぜ「銀の魂」なのか? です。 
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