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「銀魂」考 第2回 なぜ「銀の魂」なのか?

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「銀魂」考 第2回 なぜ「銀の魂」なのか?
 第1回 植民地化された「サムライの国」、その世界観 からの続き。

アニメ第27話「刀じゃ斬れないものがある」から。
真選組(新撰組)土方と銀時の会話。ここで銀さんが名言を吐きます。

「別にてめぇが死のうが構わん。ただ解せない、わざわざ死に行くっていうのか」
「行かなくても死ぬんだよ。俺には心臓より大切な器官があるんだ。そいつは見えないが、確かに俺のド頭から股間まで真っ直ぐにぶち抜いて俺の中に存在する。そいつがあるから俺は真っ直ぐに立っていられる。ふらふらしても真っ直ぐ歩いていける。ここで立ち止まったら、そいつが折れちまうのさ。
たましいが……、折れちまうんだよ。
心臓が止まるなんてことより、俺にしたらこっちの方が一大事でね。こいつは老いぼれて腰が曲がっても真っ直ぐじゃなけりゃいけねぇ」
「己の美学のために死ぬってか、とんだロマンティズムだ」


銀魂・義理2
子どもの涙を見て銀さんたちが仇討ちに行くという場面。
「銀魂」主人公・坂田銀時のたましい、「銀の魂」がよく表わされているセリフです。

では、新渡戸稲造の「武士道」から引いてみましょう。
武士道・英語(武士道の原語版。表紙が「桜と刀」となっている。これは本書の内容をよく示している。)
第三章「義」の章
 「さむらい」が命を懸けて守ったものを表すものとして、二人のサムライの言葉を引いています。

林子平「義とは、ためらうことなく道理に従って、ある行動を選ぶ決心をする力のことである。死ぬべき時には死に、攻撃すべき時には攻撃すべきだ」(「学則」)
真木和泉守「義とは、堅固さ、姿勢の正しさを保つ骨のようなものである。骨がなければ、頭は脊椎の上にきちんと乗っていないし、手も動かず、足で立つこともできない。同様に、義がなければ、どんな才能があっても、あるいはどんなに学問をしても、さむらいになることはできない。義さえあれば、特に優れた業績がないことなどさしたる問題ではない」(「何傷録」)

まさに「銀魂」とは「サムライ魂」だというのが分かる。
銀魂 義理1
そして、銀さんが仇討を請け負ったのは子どもが大切にしていた「ドッキリマンシール」一枚だ。
カッコいい。実に清々しい。銀さんの「たましい」とはまさに新渡戸稲造が説くところの「武士道」だ。

さて、このサムライ魂は「武士」だけに受け継がれたものではなかった、日本人全体に広がった精神だった。
「武士道」第15章から。

武士道は、さまざまな形で、それが生まれた階級以外にも広がっていく。そして、大衆の中でパン種の役割を果たし、日本人全体のための道徳規準を生み出したのである。初めはエリートだけが武士道を誇っていたが、やがて、国民全体が武士道を熱心に追求し、そこから刺激を受けるようになった。さすがに一般大衆は、武士の道徳のように高遠な倫理レベルを達成することはできなかったが、「大和魂」はついにこの島国の民族精神(フォルクスガイスト)を表すに至った。マシュー・アーノルドが定義したように、宗教が「感情に彩られた倫理性」にすぎないとすれば、武士道ほど宗教と呼ぶにふさわしい倫理体系はほとんどない。

つまり、「侍の魂」とは「大和魂」だということ。

ブルーノ・タウト「日本文化私観」(講談社学術文庫)から。
日本文化私観

古来日本には中国と異なって武器を尊重する風があった。すなわち中国では武人の身分が軽視されたのに対して、日本では剣およびその携行者を尊び、これによって古代よりの自然観、世界観、ひいては神道をも固持してきたのである。日本が中国から移入した事物を、独自のものと成し得たのは、恐らくこれに素因するであろうと思われる。武と文とのジンテーゼ(意味は統合、統合命題。さらに詳しくはここで)を日本は創り出したのである。(中略)かくて母国文化に対する責務は、かくも生々と失われずにきたのである。

「侍の魂」は日本の文化・習慣・考え方、生き方などなど、すべての日本人に影響を及ぼした。
サムライ魂=大和魂つまり、銀魂の魂とは、大和魂のことである。

では、「銀」はなに?ということになる。
そう、ここで資料編の登場。
第4回資料編「「銀」は日本人の美意識、つまり魂だということ。
ここでは、司馬遼太郎 ドナルド・キーン 対談「日本人と日本文化」の中から「銀とは日本人の美意識、つまり魂」だというところをまとめています。(かならず太字だけでも読んでね)
キーンさんの「日本人の趣味からいうと、どうも金より銀のほうが合っているような気がする。金のような温かい黄色い色よりも、銀のほうが合っているような気がする。銀のような淋しい色の方が日本的じゃないかと思います。」はまさにそうだろう。
確かに「しぶい銀」は日本人好みだ。
ブルーノ・タウト「日本文化私観」からも引けば「文化の方面へ欧州が侵入してくるとなると、日本人がそれを望むと否とにかかわらず、あの美しい東洋的な落ち着き、“渋い”という言葉で顕される一切のものが、消滅してしまうだろう。」とある。
この「渋い」の一言はまさに「いぶし銀」とか「枯れた銀色」といったように、日本的美学(たましい)を表現するのにふさわしい。
それを色彩でいうと、キンピカの「金」に対して、渋い「銀」の方が日本の精神を表しているということだ。
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」も、西洋にない陰の部分に日本の美意識があるという点で同じようなことを言っているわけです。
(日本の建築物や物に対して谷崎もブルーノ・タウトも全く同じことを主張している。やはり日本の美学・魂はここにあるのだと思う)

まあ、そう考えていけば、銀とは日本、銀魂とは大和魂という意味であると考えていいでしょう。
銀魂・銀
やはり、銀さんには、しぶい光を放つ「銀」が良く似合う。
「銀魂」の1話(アニメでは3話)の冒頭で、新八へ父親がこんな遺言をいう。

侍の刀はなァ、鞘におさめるもんじゃねェ、自分の魂におさめるもんだ。
時代はもう侍なんざ必要としてねぇがよ。どんなに時代が変わろうと、人には忘れちゃならねーもんがあらぁ。
例え剣を捨てる時が来ても、真っすぐな剣だけはなくすな。

そして、この回の終りに新八は銀さんの中に「サムライ魂」を見付けて、独白する。

この男の魂いかなるものか。ひどくわかり辛いですが、それは鈍く…確かに光っているように思うのです。今しばらく傍らでその光…眺めてみようと思います。

そう、銀さんの中にある「銀の魂」を見出すのだ。

さてさて、もう少し「サムライ」について考えてみましょう。
「銀魂 新訳紅桜編」では、敵方の岡田似蔵(モデルは岡田以蔵)が銀さんに向ってこんなこと言います。
「アンタ達のような弱い侍のためにこの国は腐敗した。アンタではなく俺があの人の隣にいればこの国はこんな有り様にはならなかった。士道だ節義だくだらないものは侍には必要ない。侍に必要なのは剣のみさね。剣の折れたアンタ達はもう侍じゃないよ。惰弱な侍はこの国から消えるがいい…」
この「銀魂」世界では「サムライ」とは滅びゆく者たちなのですね。

司馬遼太郎の「「明治」という国家」(NHKブックス)から、サムライに関する部分を引いてみましょう。

……ではサムライとは何かを問われれば、自律心である、ひとたびイエスといった以上は命がけでその言葉をまもる、自分の名誉も命を賭けてまもる、敵に対する情(なさけ)。
(中略)
福沢が、西郷の死においていいたかったのは、さきに述べた抵抗論よりも、また右のような事情論よりも、じつはサムライたちがついに滅亡してしまったということについてのさびしさについてだったでしょう。“個人の独立”といったところで、薄っぺらな個人が独立したところで、なにほどの美を済(な)すわけではありません。福沢はそれより生年のわかい内村鑑三や新渡戸稲造たちが大切にした、武士道というものを大切にしたかったのです。かれらは、米国でニューイングランドあたりにいる敬虔で厳格で自律的な新教徒を多く見ました。かれらがもつ個人の厚みを十分に知っていました。それに匹敵するするものが、まだ十分に世界性のなかでみがかれていないとはいえ、武士道ではないか、かれらは思ったのです。
福沢は「丁丑公論」の中で、政府が西郷を“賊”としたことに腹をたてています。西郷一個のことよりも、“賊”にされることによってサムライまでが亡びていくのではないかということを、日本のためにもっとも不安としたのです。

福沢諭吉や三島由紀夫は「日本の精神、武士道」が失われることを危惧した。そして木戸孝允も……(これは第5回で)
サムライが滅びることとは、日本において、その精神、大和魂まで失うことに等しいということなのだろう。
でも、現代日本のどこを見渡しても「サムライ」などいません。
では、その魂は失われたのか。
否!
資料編「日本文化を継承するものが日本人だ、と思う。 その2」(必ず見てね)
日本文化を継ぐ外国人がいる。
ならば、日本文化を継ぐ日本人だっているはずだろう。
日本文化とは日本の魂、つまり大和魂だ。
となれば、日本人が何を大切にすべきは、自ずと分かるでしょう。

やはりここにつながってしまった。

……続く。

次は、「第3回 カーニバルと鎮魂」です。
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