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「銀魂」考 第3回 鎮魂とカーニバル その2 「銀魂」は「カーニバル」と「ええじゃないか」だぁ、だぁ、だあ!

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「銀魂」考 第3回 鎮魂とカーニバル その2 「銀魂」は「カーニバル」と「ええじゃないか」だぁ、だぁ、だあ!
前回 「銀魂」考 第3回 鎮魂とカーニバル その1 「銀魂」は怨念を残した者たちの「鎮魂劇」であるからの続き。

「銀魂」は「九割がどうしょうもなく下品でも、残りの一割がどうしょうもなく熱く、そしてせつない。」と作家の窪美澄がいうように、そのほとんどは登場人物たちが乱痴気騒ぎを繰り広げるマンガ・アニメだ。
なぜ、これほどまでに毎回毎回大騒ぎをするのか。
銀魂 2期

もちろんギャグメインのマンガなのだから大騒ぎになるのは当たり前ではないのかと言ってしまえば、それまでだが……。しかし「銀魂」が「鎮魂」の物語だとすれば、この「狂ったような騒ぎ」にも意味があるのではないか。

さて、今回使うのは資料編、第10回 資料編10回目 丸谷才一「忠臣蔵とは何か」 その1と第11回 資料編11回目 丸谷才一「忠臣蔵とは何か」 その2です。
そして、丸谷才一・山崎正和・対談集「見わたせば柳さくら」(中央公論社)。
見わたせば柳さくら

さて、「見わたせば柳さくら」から。

都市というのは、つまり人工的な世界ですよね。日本の都市というのは、西洋や中国の都市に比べれば融通無碍なものですけれども、それでもここは官庁街であり、ここは屋敷町である、という一つの秩序を持っています。それから、たいていの場合、政治の中心ですから、法という秩序が支配しています。だから、これは広い意味でフォルムの世界だといってもいいんですよね。芸術上のフォルムから法律や制度のフォルムまで含めた、何か形のある世界ですね。これは人間の文化の営みとして必然の産物だけれども、放っておくとだんだん生命力を失います。
これに対して混沌たる生命というのは、やはり土の上のところにある。つまり農民にあるわけですね。それがときどき間歇的に都市へ流れ込んでいく。そうすると、都会人は狂うんですよね。狂って、生命力を取り戻していく。
狂うことによって回復するわけですね。
これがはっきりとあらわれているのは、芸術史の上でいうと、田楽ですね。なぜかわからないですが、猿楽と田楽というのは、どちらも能の起源にある要素ですけども、猿楽のほうは田楽のもっている、動物的なというか、あるいは多少アナーキーな力をあまりもっていないんですね。
田楽というのはいうまでもなく田の楽でありまして、豊饒のための呪術的芸能ですね。これが、平安末期の永長という時代に京の都に大乱入したことがあるんです。「洛陽田楽記」というの記録が残っています。京の都の人たちが、どれもこれも、それこそ公家から庶民にいたるまで田楽踊りをはじめて、町じゅう狂ったんです。
田楽は狂うんですね。江戸初期の「かぶき」踊りもそうかもしれない。どうも私は、田楽や「かぶき」踊りと花見というのはうんと深いところで共通性があるような気がします。
田楽狂い、「かぶき」狂いというのは歴史の中の一回的な事件でしたけれど、花は毎年人を狂わしてくれる。
だから、やはり桜の花見というのは、日本人にとってのカーニバルの代表だと思います。

民衆が狂ったように踊ったり騒いだりするのは、現体制への批判や統治者への不満が根本にあるということだ。その鬱積がたまりにたまって爆発し、民衆は狂騒することになる。
幕末の「ええじゃないか」もこれと全く同じことであり、中国や中東などで起こるデモもこの一種だろう。
これらは、為政者への不満のガス抜きの一つであった。
そして、「祭り」や「カーニバル」にも同じ作用があったというのだ。
これは丸谷才一はこれを仮名手本忠臣蔵などの歌舞伎とからめて書いたのが「忠臣蔵とは何か」だろう。(資料編で)

文化人類学者の山口昌男によれば、カーニヴァルとは「秩序の拘束から離れて気儘に戯れ日を過ごす」ことであり、未開では「王権の反秩序儀礼」としての意味を担っているという。
元禄時代の「王権」は、言わずと知れた悪政の徳川綱吉である。民衆の不満は潜在的に充満していたと考えられる。そうした民衆が「忠臣蔵」に激しい共感を寄せ、現在に至るまで愛されつづけている点は興味深い謎であり、いろいろな解釈を可能にする。丸谷はそこに「太古の祭」という原初的なエネルギーを感じとり、最新の概念を導入してその解明を果敢に試みたといえよう。横木徳久(文芸評論家)


では、これを「銀魂」世界に当てはめてみるとどうなるだろうか。

銀魂 江戸の町を威圧する塔江戸の町を威圧するように立つ天人支配の象徴「ターミナル」。
そして、その天人(華陀など)は、人間(江戸の住民たち)のことを「下等なサルども」と見下し、天人に食い殺される国(植民地状態)になった世界。
これは、第1回「銀魂」考 第1回 植民地化された「サムライの国」、その世界観で見たように、「江戸」は天人(外国人)に支配された国となっている。

となれば、「銀魂」世界で繰り広げられる大乱痴気騒ぎも一種の「ええじゃないか」や「カーニバル」なのではないか、と思われてならない。
資料編から拾ってみれば、
「仮名手本忠臣蔵」が、実は将軍調伏という恐るべき意図さえも孕んだいわゆる御霊信仰を支えとする祭祀劇であったとする新しい説」(小室金之助)
「なお、カーニヴァルが民衆の政治的鬱憤晴らしの場になることはよくあった。」「いま、狂気じみた騒がしい大乱痴気の光景が示されていた。仮面をつけた連中の波は、あらゆるところから溢れ出していた。」(丸谷才一)などとあるように、「銀魂」世界に繰り広げられる民衆のバカ騒ぎにも「カーニバル的」「ええじゃないか的」性質があるのではないのか。
このガス抜きは「祭り」や「演劇(田楽や歌舞伎)」の中にもあるというが丸谷才一や山崎和正の説だ。
何となく関連記事「伊藤洋一著「日本力」は面白い。 なるほど「中国には祭りがない」のか!

アニメ38話に「雪まつり」の回がある。
ストーリーは省略。まあ、最初は雪まつりだったものが、最後にはめちゃくちゃな雪合戦になる。
「なにをみんなやっているんですかね?」という新八の問いかけに、お登勢はこう答える。「祭りだよ」
銀魂 雪まつり
「銀魂」世界の狂乱はつねに鎮魂を伴う「祭り」や反体制への鬱積を伴う「カーニバル」的要素を含んでいるのだ。

日本語の俗語で、男女の性関係を「お祭」といいますね。お祭の本質を言い表しているように思えるのです。祭りには必ずセックスか食欲かあるいはその両方が伴っている。そういう生物的な根源のところにすでにお祭があって、やがて人間はいろいろ抽象作用のふるいをかけて、そこから信仰というものを編み出してきたのではないでしょうか

祭りと性と食も「銀魂」では物語の重要なモチーフになる。

また「銀魂」では、登場人物らが女装または男装する「異性装」や、歴史上人物の性別の逆転(「おかま」というのもある。)が多く描かれる。(ほんとに多い。前回でも触れた)
男が女装し女が男装するのはカーニヴァルにつきものであるし、「ええじゃないか」では「非日常的な女装・男装の男女の狂乱状態」(男は女装し、女は男装)であったといわれる。(ヤフー百科事典「仮装」の項目)には以下の説明がある。

ヨーロッパの伝統的カーニバルでは、異性装、動物装、異形装(想像上の怪物や道化の扮装をすること)、異階装(社会的身分を逆転させた扮装をすること)などがみられた。仮装の内容には多くのバリエーションがあるが、いずれの場合も、日常を構成するさまざまな階層的秩序(男/女、人間/動物、文化/自然など)を逆転あるいは無効にする重要な契機となっている。人間は、祝祭的空間のなかで、仮装を通じて非日常的で超現実的な存在になるのである。こうした仮装のもつ逸脱性は、たとえば「ええじゃないか」(異性装、踊り姿、半裸姿などがみられた)にみられるように、ときとして所与の文化的枠組みを超え、民衆運動の口火を切る契機となることさえある。


jxyosou
(女装する銀時と桂。ほかに柳生九兵衛や西郷など特殊な性別もこの世界では描かれる。)

「忠臣蔵とは何か」にすべてを要約したような一文がある。

「仮名手本忠臣蔵」によって味あうものは、御霊会=カーニヴァル的世界感覚とでも形容するしかない猥雑な静けさ、秩序感にあふれた混冥(こんめい)、感動と哀愁と解放と浄化である。

これはまさに「銀魂」を表している一文といってもよいであろう。

まだまだ続く。
次は「桜」、その次が「あの塔」だ。

追記
「銀魂いいよ~」とまわりに人に薦めたら、たまたま見たのが「ラブチョリス編の229話」だったらしい。
かなり引かれた。
まあ、サムライスピリッツ溢れるカッコいいバトルアニメだと思ったようだ。(映画版の「ワーさん、ナーさん」みたいに騙されたのか)
確かにこの回はヒドイかった。(褒め言葉です)
なにしろ主人公が全裸でモザイクが入るって。(ピー音、モザイク全開でしたね)
銀魂 モザイク
でも、まさにこれこそが「カーニバル」!
祭りの基本は「裸」ですから……。


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