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「銀魂」考 第4回 あの塔は何だ? 生と死とリンガ

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「銀魂」考 第4回 あの塔は何だ? 生と死とリンガ

アニメ銀魂の中でよく描かれるものが「桜」や「巨大な月」そして「ターミナル」だ。
特に「ターミナル」は本編やオープニング、エンディングでかなり登場する。
これは、サブキャラクターの定春やお登勢なんかよりも登場回数は多いだろう。何気ない風景として描かれることもあるが、ここぞというときに象徴的に登場することもある。
銀魂 ターミナル2
さて、ここで資料編。
第5回  塔の話 その1 「東京スカイツリー」と「東京タワー」
第6回  塔の話 その2 「西洋の塔と東洋の塔」
第7回  塔の話 その3 「日本の塔において生の理念と死の理念がいかに相戦い、戦いつつそこに一種の調和をつくっている」

以下ことわりがない場合は、すべて梅原猛の「塔」(集英社)の本からの引用です。
梅原猛 「塔」

塔は、本来、高さへの意志を表現するものであった。しかもそのその高さへの意志は、同時に、権力の象徴であった。もう一ついえば、それは、宗教によって聖化された権力の象徴であった。

Wikipediaの「銀魂・ターミナル」の説明は以下の通り。

地球の政権を握った天人が開国の際に造った宇宙船発着の為の基地。地球のエネルギーが湧き出る場所である「龍穴」のエネルギーで動いており、江戸中のエネルギーが集束しているポイントでもある。元々の場所は、阿音と百音が狛神2匹と共に住んでいた神社だったが、それを取り壊して建造された。攘夷志士にテロの対象として狙われる事が多く、桂も時限爆弾で破壊を目論んで居た。
また、テロではないが寄生型えいりあんに侵食された際、真選組や松平の攻撃によって大きく損壊した。地下深くにはエネルギーを制御する場所があり、そこを伍丸弐號(流山)率いるからくりメイド集団に占拠されてしまった事もある。その時の戦いでエネルギーが暴発しかけるが、零號(たま)によって阻止された。
ちなみにアニメの150話の嘘最終回にてターミナルの頂上が銀時と高杉の決闘場所となって居た。

この塔・ターミナルが登場することによって、江戸(地球)は天人の支配下にあることを明示している。
だから、天人が直接描かれることはなくとも、根本的設定・世界観は守られていることになる。(OP・EDで攘夷戦争の場面が描かれているのも同様)
ここで面白いのは、このターミナルが神社を潰した跡地に建てられてるということ。つまり、日本人の魂の象徴である神社は破却され、そこに外国人による塔が建てられているというのは、日本が植民地状態であるということだ。基本設定はこういうところで常に暗示されている。
神社を潰してターミナル(45話にその経緯が描かれている)
江戸の龍脈を断つという点を追えば、ターミナルがどこに建てられているのか、ということを考えるのは楽しい。
荒俣宏の「帝都物語」的に考えによればそこは神田明神だということになるだろうし、天海の作った呪術的魔方陣であるならば寛永寺や上野東照宮あたりの上野公園あたりになるだろうし、加門七海ならば赤坂の日枝神社や東京タワーあたりだということになろうか、いやいやそれは靖国神社ではないのか(私はそう思う)……と、そんなことを考えると面白い。(まあこれは本筋ではないので、時間があったときに…)

さて、ではこのターミナル・塔は何を表現しているのか。
3つほど考えてみた。

1、支配としての塔

マグダ・レヴェツ・アレキサンダーは、塔を建造する人間の意志を、一種の高所衝動として理解しようとしている。人間は、自己を表現しようとするはげしい意志をもっている。自己の存在を誇示し、自己の存在を空中高く飛躍せしめんとする意志を、人間はその内面深く宿している。
塔は人間の生への意志、権力への意志の表現なのである。そしてその生への意志、権力への意志は、いつも無限の方向をもち、それゆえいつも未完に終わるのである。ニーチェがいうように、権力への意志はいつも己れ自らにいう。もっと多くの権力を、と。権力は権力を求めて止まず、塔は高さを求めて、止まることを知らないのである。悲劇的にすら見える、この権力への意志、そこにヨーロッパの塔の本質がある。


第一に、この世界の支配者の権力を象徴したものとして「塔」が登場しているというは分かり易いだろう。(画像はOP・EDから拾ってみた)
だから、銀時の視線の向こうにこの塔はある。
銀魂 塔・1銀さんと塔。(この構図はかなり多い。)
銀魂 桂とエリーと塔桂とエリーと塔。攘夷戦争を戦った桂が、この敵なる象徴的塔を見つめるシーンは実に感慨深い。(史実の桂小五郎と重ねてみると余計に…、これは第5回で)
ターミナルと神楽神楽と塔。
銀魂 ターミナルと服部全蔵服部全蔵と塔。こういう組み合わせもあった。(長谷川さんと塔というのもある。支配と被支配という関係か)
やはり、塔・ターミナルは、江戸の住民と対峙するものの象徴なのだろうか。
また銀時らが行く先に塔がある、という描かれ方も多い。
塔・桜

これら本編を通じても、塔・ターミナルはどこかしらに描かれている。
全話どういった場面で登場しているかチェックしようとしたが、あまりにも数が多いので、断念した。(つまりそれほど多く描かれている。)
アニメ・マンガにおいてその画面に登場するものは、作者の何らかの意図があると、細田守は言った。
やはりもっと深い意味があるのではないか、もう少し掘り下げて見よう。


2、生と死を分ける塔

この高くそびえる建物そのものが、一つの死を示しているのである。この高くそびえる建物そのものは、ヨーロッパの塔のように、永遠に高く昇る一つの意志を表すのではなく、一人の偉大なる人間の死の栄光を示すものである。ヨーロッパの塔が、限りなく上昇する生への意志を示すものであるとすれば、仏教の塔は、生と死のたえざる争いの上に生まれるといってよいかもしれない。まさにここで生は死の上にそびえ、そして死の上に高くそびえることにより、死を超克せんとしながらも、なおかつ、生は、偉大なる沈黙の死の支配を脱することができない。


銀魂 塔 次郎長銀時と次郎長の間に現れる塔。

銀魂・桂と高杉と塔桂と高杉との間に現れる塔。

銀魂 死の塔「かぶき町四天王篇」の瀕死の椿平子に現れる塔。

塔には生への意志とともに、死への省察が含まれている。限りなく上昇しようとする強い生への意志と、それにもかかわらず、人間を根本的に支配する死の意識が、すべての塔の中で、はげしく戦っているのである。この生と死の戦いは、人間存在を構成する基本的なものなのである。


この本を読んでから、アニメに「高い塔」が登場するといろいろ考えてしまう。
特に「生死」を争うようなアニメで。
魔法少女 塔魔法少女まどかマギカのOPに登場する塔。

魔法少女 塔2魔法少女まどかマギカに登場する不気味なイメージの塔。
このアニメでは他に「やたら高くそびえ立つ病院」や「塔の頂上に立つ登場人物」などが結構出てくる。これらもそういった意味があるのではないか。

ワシントン記念塔これはアメリカのワシントン記念塔。
アントワープ ノートルダム大聖堂アントワープ ノートルダム大聖堂。
西洋の塔が天に向って垂直に建っていることは「生の衝動とともに、死の衝動」があることは、資料編にまとめてある。
では、図像学・イコノグラフィー的に読み解こうとすれば、銀魂で描かれるあの塔は「生と死」を分けるものの象徴なのではないか。
映画版「新訳紅桜編」では、銀時が決闘に向う前に、その背後にあの塔は描かれる。
銀魂 銀時が決闘に向う前に出るあの塔
そして本編のラスト、激闘を終え家路に向う銀時ら一行のその先にあの塔は描かれている。
銀魂 紅桜編のラストに登場する塔
「日本の塔において生の理念と死の理念がいかに相戦い、戦いつつそこに一種の調和をつくっている……。」
アニメ銀魂における大きなテーマはこの塔にあるのではないか、そんな風に思えてならない。
だから、150話の偽最終回ではこの塔は炎上する。
銀魂・塔の炎上

もう一つ、塔に関する謎がある。
OP・EDを見ていると、本来描かれるべき場所で、あの塔が描かれていないということがたまにあることに気付いた。
塔のない銀魂3

塔のない銀魂2

塔のない銀魂1
登場人物が前に立ちはだかって、この塔が描かれていないのだ。
これらは何を意味するのか。塔の持つ死を超えたということを意味しているのか。
また、新オープニング曲「ジレンマ」では、銀時はターミナルのエレベーターに乗って頂上まで達する。
銀魂 ジレンマ
この前のシーンでは人ごみとは反対方向を一人歩く銀時(サムライが過去のものという象徴)や、過去に戦った者たちを回想するようなイメージや女性の登場人物が重なるといったシーンとともに、この塔を昇って行くのだ。
なにを意味するのか?
新たな展開があるという予兆なのか?

またこんな場面もある。本編のパロった「ギンタマン」という偽OPシーンでは、ターミナルは東京タワーとして描かれている。
銀魂 ギンタマン・何故か東京タワーこれはどういうことなのか。
わざわざ東京タワーにした意味は?

それに東京スカイツリーがどう見ても「銀魂」世界のターミナルに酷似しているのはなぜか。(まるで予言のように)
東京スカイツリーの完成予想図(画像提供:東武鉄道株式会社・東武タワースカイツリー株式会社)
これも謎だ。

実にこの「ターミナル」は解析しきれない存在だ。

3、リンガとしての塔
銀魂 ターミナル、亀頭
これを見て思うのは、リンガ、男根ではないのか、ということ。

88話では、穢れたバベルの塔=男根として、この塔を見立ている。
銀魂 穢れたバベルの塔
ちなみに、ピーテル・ブリューゲルの「バベルの塔」
バベルの塔

銀魂 アームストロング砲38話。ネオアームストロング サイクロンジェット アームストロング砲こと、男根。
このアニメは男根をネタにしたものも多い。(猥雑なギャクアニメだから、チンチンネタは多いのは当たり前だろう)しかし面白いのは、主人公銀時の股間がハンマーに変わったり、ドライバーに変わったり、ドットに変わったりすることである。このアニメで問われるのは、主人公のリンガなのだ。

(アンコール・ワット建物)の頂上は巨大な塔であるが、この塔の下には、巨大なリンガがそなえられていたのではないかと思われる。それは、おそらく小乗仏教の流行とともにその多くはとり去られてしまったが、かつてこのリンガこそ、王室の権力のシンボルであったのである。リンガとは、まことに忠実にその形を模した巨大な男性のシンボルであるが、おそらくヒンズー教の塔そのものが、男性シンボルの象徴という意味をもっているのあろう。
垂直に天に直立する意志、それは子孫生産の意志を示し、権力の意志を示し、そしてそれ以上に、形而上学的な根源的な生への意志をも示している。


銀魂・リンガと新八(150話・偽最終回)
そう考えると、常に性の衝動と戦い続ける少年・新八が、エヴァのパロディでこのターミナルことリンガの上に立つというが、実に興味深い。
男根信仰は世界各地にあり、インドではシヴァ神はリンガを象徴として崇められているし、日本でも奇祭として各地に残っている。三峰神社(埼玉県秩父)の節分の祭や諏訪神社の御柱祭りもこの一種であろう。
やはり、リンガ信仰も「死と再生」を願うものである。


ということで、第4回のまとめ。
振り返って、「銀魂」世界で描かれる「桜」「月」(月の満ち欠けは死と再生を意味する)「塔」などはすべて、「死と再生」を秘めていることになる。

ここがこの物語において重要なテーマであることは間違いない。

まだまだ続くよ。




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