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物語を物語る

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「銀魂」考 第7回 継承の物語

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「銀魂」考 第7回 継承の物語 

銀魂の話なのに、まず、こんな話から入る。

「龍馬伝」の岩崎弥太郎役で国民的俳優となった香川照之(45)が、市川中車(ちゅうしゃ)を襲名。来年6、7月に新橋演舞場で行われる「初代市川猿翁 3代目市川段四郎50回忌追善興行」で、歌舞伎に初出演する。
 香川はスーパー歌舞伎で知られる市川猿之助(71)の息子だが、生まれてすぐに両親は別居。母親の浜木綿子(75)と暮らし、猿之助とは絶縁状態だった。25歳で父の楽屋を訪れたときも、「あなたは息子ではない」「二度と会うことはない」と突き放されたという。本人が雑誌で告白している。それが突然、2人そろって会見し、沢潟屋(おもだかや)として舞台に立つというのだからビックリだ。
「父と子の関係を修復させたのは、2年前に亡くなった藤間紫です。長年、猿之助を支え、00年に正式に入籍した舞踊家。香川に長男政明が生まれた04年ごろ、2人が会う機会を設けて、空白の時間を埋める手助けをした。そこから少しずつ、父・子・孫で過ごす時間が増えていったのです」(芸能関係者)
 27日の会見で香川は、「今年の春から父とともに3世代で同居している」と話した。関係は良好のようだ。
 来年6月の興行では、亀治郎の4代目猿之助襲名も披露される。亀治郎は独身で子どもがいないため、5代目を名乗るのは市川団子(だんこ)を襲名する政明(7)となりそう。香川もそれを望んでいるという。2011年09月29日 ゲンダイネット

なぜ、これ?って思われるでしょうが、ここで取り上げたいのは、これが「継承の物語」の一例だということ。
「歌舞伎の伝統を守らなければならない思いが強まった。」という香川の意志は、父から子へ、子から孫へ継承されるということになる。まあ、いろいろあるでしょうが、これはいい話でしょう。そして、印象的だったのは、子・政明くんがちゃんと挨拶できたこと喜んで、父・香川照之が頭をなでるという場面だった。
香川照之 継承
まさにこういうのが、父から子へ、師匠から弟子への「継承」の表徴となっている。
何が継承されるのかって? それは「魂」です。

さて、本題へ。
銀魂は魂が継承されていく物語だ。(断定)
それは師匠から弟子への「継承の物語」である。
こんなシーンがある。
神楽の頭をなでる銀さん(126話「文通篇」から。少年少女の自立の話から、神楽の父親代わりをしている銀さんが頭をなでるというシーン。決して鼻クソをつけているわけではありません)
銀魂 頭をなでる銀さん 2(これは213話「かぶき町四天王篇」、死地に向う銀さんが「後は頼む」と言って神楽の頭をなでるという場面)
家族のなかった銀時が、自分の娘のように神楽と接する姿と、神楽が実の父親に対いするような疎ましさと少しの尊敬の念とがない交ぜとなった感じ、この微妙な関係が「銀魂」物語を更に面白くさせている。(私には娘がいるので余計にここは面白く感じられるのかもしれない。たぶん銀時やお妙や桂のような「保護者目線」で神楽を見ているのだろう。「けいおん」でいうさわ子の目線だ)
そして、新八同様、神楽は銀時の弟子の関係にあるのだ。
それは、サムライ魂を受け継いでいることになる。神楽がサムライによって自分を変えようとしているのは、父への手紙で分かる。内容は第5回で。(神楽の成長物語は第8回になります。)

「継承の物語」の説明は資料編では、
第12回  「継承の物語」その1 「ゴッドファーザー」 資料編12回目
第13回  「継承の物語」その2 クリント・イーストウッド  資料編13回目
第14回  「継承の物語」その3 スターウォーズと黒澤明 資料編14回目
第15回  資料編15回目 「継承の物語」その4 「けいおん」は「継承の物語」である。
となります。
特に第12回。ここでは映画「ゴッドファーザー」の父から子への継承の場面はドンとマイケルの対話シーンにあたり、小道具としてはワイングラスが使われていました。
それに、資料編第15回では「けいおん」といった何気ない物語の中にも「継承の物語」というものが存在することを解説しました。(「さわ子→唯たち→梓」という風に「けいおん魂」は受け継がれています。何の「魂」かは本文で)

では、「銀魂」の「継承の物語」を見てみましょう。
まず、師匠や親が、弟子や子の頭をなでるというシーンが「継承」を示している場面が多いのだ。
この頭をなでるというシーンは結構あって、分かり易いのでいくつか拾ってみましょう。

銀魂 頭をなでられる3これは、映画「紅桜篇」。村田鉄子の幼少時代に刀匠の父から頭をなでられ「どんな剣を作りたいか」と訊かれるという場面。鉄子はこのとき「人を護る剣」と答えるが(これが映画の重要なテーマの一つとなっている)、ここで父から子への継承が表徴的に行われたことを示している。
銀魂 頭をなでられる銀時映画「紅桜編」の幼少時代の銀時が師匠となる松陽先生から頭をなでられる。銀時や桂、高杉の回想として師匠・松陽先生は物語の所々に挿入される。
師匠・松陽先生の魂が弟子の銀時や桂、高杉に受け継がれていったことがこの物語のキーポイントであることが随所に示される。
こうしてみれば、映画「新訳紅桜篇」は、刀匠の父から兄と妹への継承物語と、松陽先生から銀時らへの継承の物語が重なっていることが分かる。しかも同じ師匠から継承されながらも、兄と妹、高杉と桂、というように途中から進むべき道が違ってしまうことから起こる諍いや悲劇を描いていることになっている。この二重構造も良く出来た筋書きです。

ではテレビ版から。これは52話。銀時の隠し子騒動の話。
銀魂 52話 
戦いを終えた後、自分に似た赤ん坊とミルクで月夜の花見をした銀時がこんなセリフを言います。「そうさな、お前がもうちょっと大人になったら、その時に俺のことを憶えていたら、また会いに来い。そん時は(酒を)付き合うよ。あー約束だ。サムライは果たせない約束はしねぇもんだ。せいぜいいっぱい笑って、いっぱい泣いて、さっさと大人になるこった。待ってるぜ」
これは魂の継承でしょうか。
父親を亡くした赤ん坊に、両親のいない銀時が言うとまた深いものになります。

これは53話。「火消しの話」
銀魂 継承 火消し53話両親を火事で失った辰巳を引き取って面倒を見たのは火消しの頭。頭をなでているのはこの火消しの頭で、辰巳は頭のような火消しになりたいと願う。
これはまさに師匠から弟子への「継承」。

これは177話。「紅蜘蛛篇」。
銀魂 177話
師匠・地雷亜が弟子・月詠の頭をなでるシーン。

また魂を受け継ぐということでは、丸いまんじゅうを食うというシーンもある。
「かぶき町四天王編」の213話から。
銀魂 魂の大福
寺田辰五郎の仏前に供えるた饅頭。
これは饅頭あるは大福だろうが、注目したいのは「丸い」ということだ。
これは「丸い餅」の見立てではなかろうか。
なぜなら、餅が丸いのは人の魂を表しているからだ。
詳しくは関連記事
「スイカ割り=稲作農耕民の祭祀説」 その1 これは直会だ!
「スイカ割り=稲作農耕民の祭祀説」その2  スイカ=餅、つまり魂の更新を意味する!
で。
少し引けば、「魂はふたたび補充しなければならないものであったようだ。いうならば命の更新である。柳田國男は「食物と心臓」という著作の中で、餅は人の心臓、すなわち魂の象徴であると述べている。このように正月餅は新しい1年を生き抜くためのエネルギー、すなわち補充される魂として意味をもっていたのである。」となる。
銀魂 魂の大福を食らうそして、かぶき町を護ってきた辰五郎の魂を引き継ぐように、みんなで食らう。
これは「直会」のようではないか。
「祭儀の後に供えた神饌を食べる宴のことを直会(なおらい)という。直会には、神の供物を食べることで神に近づくという意味もあるが、人が食べることのできないものは供えてはいなかったという証明でもある。墓参りの際に墓前にお供えしたものを、あとで食するというのと同じ行為であり、神霊が召し上がったものを頂くことにより、神霊との結びつきを強くし、神霊の力を分けてもらい、その加護を期待するのである。」とあるから、まさにそうだ。
そして、銀時は辰五郎の形見の十手を手にして戦いに挑む。辰五郎は「天人」と戦い命を落とした人だ。
「かぶき町四天王編」は舞台を「かぶき町」とした狭い範囲の争いとなってはいるが、その黒幕には「天人」があり、過去の「前期・攘夷戦争」を発端としている。この篇も、「銀魂」の根本設定である、地球(日本)を貪りつくす天人(外国人)に立ち向かうサムライを描いていることになる。それは次郎長のセリフでもわかる。(この辺りは第5回)
そして、この「かぶき町四天王編」のお登勢のセリフでも分かるように、辰五郎や次郎長の魂(かぶき町を護るというのは比喩)は銀時へ受け継がれていった。そして、これは神楽や新八らに受け継がれることになるのだ。

さて他にも継承物語はある。「かぶき町野良猫篇」「星海坊主篇」や「全ての大人達は全ての子供達のインストラクター」なんてものにも「継承の物語」を見出すことができる。
その中でも、師匠と弟子の関係を明確にテーマとしたのは「紅蜘蛛篇」であろう。
銀魂 頭をなでる2松陽先生から頭をなでられる銀時はこんなことを言われます。
「屍を食らう鬼が出ると聞いて来てみれば、君がそう?  またずい分とかわいい鬼がいたものですね。
……刀も屍からはぎ取ったんですか、童ひとりで屍の身ぐるみをはぎ、そうして自分の身を護ってきたんですか、たいしたもんじゃないですか。そんな剣もういりませんよ。くれてあげますよ、私の剣。剣の本当の使い方を知りたきゃ、ついて来るがいい。これからはその剣をふるいなさい。敵を斬るためにはない、弱き己を斬るために。己を護るのではない、己の魂を護るために」
やはり銀魂で問われるのはつねに「魂」なのです。
師匠に背負われる銀時師・松陽と弟子の銀時との関係はまだ断片的にしか描かれていないが、物語「銀魂」の全体を支える最重要の骨子となっている。
「紅蜘蛛篇」において弟子を裏切るような行為をする地雷亜に銀時は怒りをぶつける。
「てめーに師匠の名を語る資格はねぇ、てめぇに荷ごと弟子うぃ背負う背中があるかぁ!」と。
銀魂 師匠を背負う弟子2最後は倒される月詠の師匠・地雷亜だが、死ぬ間際には魂の浄化が行われる。(坂田銀時の物語上の役目は魂の昇天・慰霊・鎮魂にある。これは第3回で)
そして弟子に背負われる師匠。
「弟子を荷ごと背負うのが師匠の役目なら、弟子の役目はなんじゃ、師を背負えるまでに大きくなることじゃ」という月詠のセリフは象徴的だ。
ヨーダ ルーク「ルークとヨーダ」。スターウォーズでいえば、こんな感じか。詳しくは資料編の第14回を。

銀魂 母子144話「吉原炎上篇」から、母・日輪を背負う子・晴太。親を背負う子というのもある。

この魂の継承は父から子へ、子から孫へ、師匠から弟子へと受け継がれていく。
銀魂においてもそれは行われている。松陽先生(あるいは辰五郎や次郎長)から銀時らの世代へ、そして新八や神楽の世代へと。(史実でも吉田松陰から桂・木戸の世代へ、そして木戸が面倒をみた明治・大正の政治家へと「継承」されていった。これは第5回で見た通り。)
銀魂 師匠を背負う弟子 1映画「紅桜篇」の本編ラストでは新八が傷ついた銀さんを背負ってました。「師匠を背負えるまでに大きくなるのが弟子のつとめ」と「紅蜘蛛篇」のセリフにあるように、新八は大きく成長しようとしている。
銀時は新八を本編でも「やればできる子だ」と認めてましたから、師匠から弟子の継承はすでに示めされているのだ。

まさに、銀魂は「魂の継承物語」なのです。

そして、お妙が弟・新八に諭すシーンが初期のころにあった。
「親が大事にしていたものを、子どもが護るのに理由がいるの?」と。
伝統や文化や歴史を守るとは、次の世代へと継承されなければならないのだ。
こういうのを何と言うか。
そうこれが「保守」の本質なのです。
保守の本質とは、政治体制や特定の政党を守ることでもないし、三島由紀夫が言うように「領土」や「そこに住む人々」を守るだけじゃない。(これは過去記事で)
そう、保守の本質とは、伝統や文化や歴史を守ることであり、それは受け継がれていかなければならないのだ。それを総称して「魂」というのだろう。
だから時にはその「魂」を護るために剣も抜かなければならない。(銀さんは木刀ですが)
実は、「銀魂」の根底に流れているテーマはそこにあるのだ。
だから銀魂では新渡戸稲造のいう「武士道」や「大和魂」を強く感じるのだろう。
そしてその魂は受け継がれていく。サムライは消えていなくなったが、世代を重ねても、「桜」のように日本人の中にしみ込んでいるのだ。

まだあと2回続きます。

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