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ブルーノ・タウトが観た「相撲」

物語を物語る

相撲を何気なく観ていたけど、面白かったな。
鶴竜のあの泣き顔のような表情や朴訥とした感じがいいよね。

さて、ブルーノ・タウトの「ニッポン ヨーロッパ人の眼で観た」(篠田英雄訳 春秋社)の中に相撲に関する記事があり、これがなかなか秀逸だったので書き起こしてみました。

昔風の唄や音楽を演じる寄席、街頭に設けられた天幕張りの小屋掛け、神社の祭礼に因んで建てられる野天の芝居小屋等もまたすぐれた伝統に属している。なかんずく祭礼の芝居興行では、伝統はまたしても神社崇拝と融合しているのである。
相撲場(注 ダウトは、1933年5月19日に、東京両国の国技館で相撲見物をした)の中央で肥大な肉塊が相打つのを二万の観衆が喧嘩しながら観ている有様は、上に述べた事物(注 先に能や芸妓などの日本の伝統文化)とはまるで反対の現象であるように見え、最初はやや野蛮な感じさえする、しかしこの興行物とても決して例外ではない。これは東京の国技館大相撲である。大入満員の広大な場内で数時間注意して見物すれば、ここにもやはりいろいろな関連が見出されるのである。オーケストラさながらの指揮下に応援している学生達の拍手のコンサートがあり、また双方の力士をそれぞれ声援する叫喚のコンサートがある。白(天)、黒(地)、赤(火)、及び緑(風)の四本柱で支えられた屋根の下で行われる肥大な両力士の力技は、決して粗野なものではない。彼らは十五分間も四股をふんだり見合ったりして仕切の前技を見せる、それは非常に緊張したものであり、これによって二人のうちのどちらかが神経質であるか、また力はあるにしても疲労しやすいかということが判る。角技そのものは、注意して見物する観客にとってはこのような観察の当否を証明するものでしかない、もし双方の神経の強さが同等であれば、知性的な顔をしている力士の方に賭ければ間違いない。
肉塊をもって相打つ角技であるが、力士にもやはり或る種の洗練と立会いの気品とが肝要なこととせられている、これは柔道や剣道あるいは弓道のような武技についてもまったく同様である。つまり大切なのは常に立派な態度であって、徒に相手を打ち負かそうとする興奮ではない。ある柔道の選士は沈着な態度だけで勝を獲ているように思われた、観る人は、彼の術や技を殆ど問題にしないのである。対手者が互いに交わす伝統的な敬礼は、競技を実に一つの社交的形式にすら化している、また一同が玉座の前で致す最敬礼は、すべての競技者を一の全体に結集する。蹴鞠の戯(注 ダウトは同年5月7日に京都の華族会館で蹴鞠を観た)は今日の蹴球の起源をなすものと思われるが、しかし現在の蹴球戦に見られるような醜態な面は絶対に現れることがない、およそ競技のなるものに対する実に高貴な模範である。蹴鞠は約一千年を経ているし、また装束はほぼ六百年前のものである。この見事な装束は、両腕を振りまわしたりするような下品な態度を拒み、またそれ故にこそますます沈着が肝要になるのである。それだから蹴鞠の名手は必ずしも年齢の若いことを必要としない。最も優れた視覚文化の意味において蹴鞠戯の示す美しさと優雅な社交的形式とを本義とするこのような伝統が、今なお維持されているところに、私は現代日本の最も重要な特性を見るのである。
現代の日本では、競技は本来の根本的性格を顕示している、この性格はアメリカと異なり、今日でも英国に培われているものとまったく同様である。アメリカに由来するスポーツは、あたかも古代ローマの剣闘士試合の如きものに堕し、またあらゆる不快な随伴現象をともなって群衆の加虐本能を煽りたてる手段になり果てた。アメリカでは、一切の文化が停止している。これに反して日本では、生活全体との関連が維持されているのである。

お~上手い文章だな。つくづく感心してしまう。相撲の中にも日本の美を見出し、米国的スポーツとは違うものだと主張している。
相撲が持つこういう一面も失わないでほしい、と願うばかりだ。
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