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物語を物語る

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案外、艶かしい、京極夏彦。

物語を物語る

さて、京極夏彦です。
はまってましたね。京極堂シリーズ。「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」「絡新婦の理」……。新刊が出るのが待ち遠しかったですね。
とにかく本が厚い。弁当箱とかレンガ本なんて言われてました。とにかく「俺は今読んでいるんだ感」が存分に味わえる。見たこともない漢字や名称がたくさん出てくるし、不気味な挿絵もある。どこか、妖しい古典を読んでいるようで、そこがまたいいんです。それに本が分厚いので長い間愉しめます。
とにかく特異な世界が広がり、妖しい怪異談として怖がらせ、本格推理小説として感心させられ、滑稽小説として笑わせてくれます。また自分的には、宗教や民俗、風俗の知識を愉しみながら得られるので、とても貴重な作家なのです。(実生活には役に立たない知識ですが)
しかし、熱狂的ファンがいる一方、京極夏彦がダメだという人も多い。まあ、あの文体は、万人受けはしませんしね。それに、難解な妖怪談義や長々と書かれた蘊蓄がうざいという人もいます。まあ、仕方のないことですね。京極夏彦の本に書かれているすべてを理解しようとする必要は全くないんです。そんなことをしたら、この小説群を読みおえるまでに何年もかかってしまうでしょう。マニアには納得の連続だろうけど、分からないところは読み飛ばしてもいいんです。それでも物語として十分楽しめる、稀有なシリーズなんですから。
「覗き小平次」が直木賞候補となったとき、林真理子が「私はこれが読めない」と選評を出したのも分かる。決してそれは彼女が馬鹿なのではなく(おっと失礼)、まさに正反対に位置する彼女から見れば、全く別世界の作家だからです。隅から隅まで、一言一句味わって読ませる純文学ではない、「現代の戯作本だ」と私は解釈しております。それが証拠に、日本中にそれほど妖怪マニアなどいないのに、シリーズ累計500万部も売れたのだから、きっと、京極夏彦の世界感に浸り、その雰囲気を味わって読む、って人が多いからでしょう。
さて、私は京極夏彦を読むたびに、「意外に」女を描くのが上手いと感じている。「狂骨の夢」の女の念はなかなか怖いし、それぞれ本の中に出てくる女たちは、どこか艶めかしくって生々しいんです。それに、女子学生が核となっている「魍魎の匣」「絡新婦の理」は、女になりつつある少女の成長期の心理を捉えていて、その描写が物語の幅を広げている。「ルーガ=ルー」は近未来の話で、やはり少女が出てくるが、ちょっと異質すぎて合わない。昭和20年代という時代性と少女の微妙な心理状態がこの文体と合致しているのだ。
なによりも、京極堂シリーズは「おんな」の描写をはさむことによって、確実に、妖怪小説、本格推理という狭いジャンルから一歩も二歩も抜け出ている。
私はなぜか京極夏彦の本に「おんな」の情念を感じる。それは「おんな」たちが事件のカギを握っているだけでなく、そこに独自の物語性があるからだ。事件を扱わなくても、「おんな」の話でも十分に小説としておもしろい小説が書けるのではないか、とさえ思っている。(「おんな」と表記しているが、女性でも女でもないです。「おんなとして生まれてきた人」という感じがあるんです)
京極夏彦の得意分野は妖怪や蘊蓄にあって、小説も「憑物落し」や「推理もの」として語られて、登場人物も京極堂、関口、榎木津、木場など「おとこ」に注目がいく。しかし、私は京極夏彦の心底には案外「おんな」的心理があるのではないかと思っているのだ。
そして、シリーズの根底に流れているのは「女の情念」であると思っている。この視点で読んで行くと意外な発見があります。(「鉄鼠の檻」にはあまり女性は出てきませんが)

シリーズ一作目の「姑獲鳥の夏」は監督・実相寺昭雄で映画化されました。
出演は堤真一、永瀬正敏、阿部寛、田中麗奈、清水美砂、篠原涼子など。
不評な意見も多いですが、私的には、映像化するにはあれが限界では、と思う。「それなりにまとまっていた」というのが一言評です。「予告編の方が良かった」という意見もあったが、それも分かる。一番の驚きは、いしだあゆみの「うあーあ」という叫び声、あそこが印象に残って、ストーリーがイマイチなんて評も。まあ、なんといっても原田知世が二役で出演しているということが良かったという意見もあった。
さて、今度はシリーズ二作目の「魍魎の匣」が映画化される。12月22日に公開される。これは、原作も最高傑作といわれ、日本推理作家協会賞も受賞した。
黒木瞳、椎名桔平(永瀬の代役)が上記以外の出演者。
監督は原田眞人。「あさま山荘事件」「バウンス ko GALS」などを監督。俳優としては「ラストサムライ」の大村役で出てました。インパクトありましたね。
この分でいくと、横溝正史の「金田一耕助」のように、映画もシリーズ化しそうですが、どうなるんでしょうか。映画化が続いたら、あんな雰囲気の感じになりそうな予感が……。
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消えた二十二巻

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