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物語を物語る

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アンパンマン考6 アンパンマンは死と再生の物語

物語を物語る

前回からの続き。

アニメ「アンパンマン」を娘と見ていて思うことは、必ず同じパターンを繰り返していることです。基本パターンは「アンパンマン考 1」に書いた通りですが、決まった流れで決まったことを行う、ここに何らかのテーマが隠されているように思えてならない。そう思い、ここ1週間、真剣に「アンパンマン」を見ているわけです。
「おいおい幼児アニメだから、同じことを繰り返しているだけなんだよ」といわれそうだし、自分もこの一連の記事を書く前はそう思っていた。しかし、どうもやらそう簡単ではないことが分かってきた。とにかく「アンパンマン」は深いのです。

さて、流れに沿って同じことをする、というのは、どこか儀式性があるように思える。儀式は同じことを繰り返すことある。だから、決まった所作や行動があって、それに則って事が進められることが重要となってくる。相撲で、土俵入りして四股を踏む、塩を撒く、立ち会って、相手と戦って、勝敗をつける。これは流れに沿った一種の儀式である、ということは前に書いたことである。歌舞伎や能のような伝統芸能も決められた動作で決められた形で演じる。これも儀式的要素が強い。儀式とは祝い・弔い・祭りなどのための決まりに従って行う作法。

では、アンパンマンのどこに儀式があるのか。

それは「アンパンマンの顔の交換」 これが必ず行われる。
見ていて本当に不思議なことなのだ。
ではストーリーから
005_20071218222144.jpg
バイキンマンに攻撃される。特に顔に水を掛ける。
006.jpg
顔が汚れてしまう。顔が濡れると力が出ない。(死の象徴)
jixyamu.jpg
アンパンマンの創造主であるジャムおじさんに新しい顔を焼いてもらう。(ジャムおじさんは多分やなせたかしの分身だと私は思う)
008.jpg
新しい顔がやってくる。

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命の再生

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復活


「いつもバイキンマンにやられるんだから、先に顔を作っておけ」とか「顔が濡れないようにしておけ」とか、突っ込みが入りそうである。また「顔を交換しただけでなんでパワーアップするんだ」といっていた人もいた。
しかし、これはまさしく「死と再生の儀式」である。一度死んだものが新しい命を得て復活するという儀式なのです。そして、同じことを繰り返すことに意味があるのです。
これは「終わりがない」こと、「アンパンマンの戦いは永遠に続いていく」ということを描いているのである。アンパンマンは毎回この死と再生を繰り返しているのだ。

「死と再生」とは神話にも多く取り上げられる人類にとって普遍的なテーマである。
「死と再生の神」という項目でウィキペディアに解説がある。
概要はこうである。
「生きている神話的存在が、一度死に、死者の存在する地下世界に行った後、再生するという説話は世界中に広く分布している。「死」と「再生」は文字どおりのものである必要はなく、食(日食、月食)などで象徴される場合も含む。
このような神としては、オシリス、アドニス、イエス・キリスト、ミスラなどがあり、女神ではイナンナ 、ペルセポネも死の国に行って戻ってきた。死と再生はエレウシスの秘儀の中核をなすものでもある。日本神話のイザナギの黄泉訪問、アマテラスの岩戸隠れも類縁である。また、二十世紀怪奇文学のクトゥルフ神話のモチーフの一つである」

さてこの項目にユングの説が載っています。
「スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングは錬金術その他の心霊主義的システムの研究から、死と再生という元型は集合的無意識により個人間に共有される象徴主義の一部であって、心理学的統合過程に役立ちうると論じた。つまり、人間には無意識の力動があり、それは元型として象徴的に捉えられる。元型の中には個人個人の枠を超えて共有されるものがあるので、地域の神話として確立し、また似た種類の神話が各地に生まれた。」
この集合的無意識とは、「われわれの心の奥底には、われわれの祖先の経験したものが遺伝してきていると考えた場合の心の深層。個人的な経験を超えた、人類に普遍的のある無意識」と解説されています。
だんだん難しくなって、アンパンマンからも外れてきたので、このくらいにしておいて。(っていうか自分も分らない。ユングは難しい)
ここでは、アンパンマン自体が「死と再生」を繰り返す、神話的物語であること。アンパンマンの物語が「人類の心の奥底にある普遍的なテーマ」を扱っていること、を踏まえてもらえればいいです。

ここで「善と悪とか永遠に戦う神話」として、インドネシアで行われる「バロンダンス」が思い浮かびます。
barong.jpg

「民族楽器ガムランの伴奏に合わせて行われる踊りで日本の獅子舞に似ています。この踊りに登場する愛嬌のある獅子のような形をしたバロンという動物は、善の魂を演じ、ランダという動物は悪の魂を演じます。バリの人々は、人の心の中には、常に善と悪が同居していると信じています。この踊りは、この人の中にある善と悪の戦いを物語っており、結果としてその戦いの決着はつかず、この四には善悪が永久に存在し、闘争を繰り返すことになります」と解説しています。つまり、アンパンマンとバイキンマンの戦いは世界的な神話に持ちいられている、人類の普遍的テーマだということです。

次回に続く。

追記  今回の記事に盛り込もうとしてやめたもの。
①バイキンマンが食物から生まれるカビやバイキンであることから、日本神話における食物起源神話を思い起こしたこと。
②「アンパンマン」の顔が丸で構成されているのが、どうも、「太陽や月の象徴」のように思えてならないこと。太陽や月が、日々死と再生を繰り返し、季節によっても死と再生を繰り返すものと考えられ崇められたことから、物語アンパンマンと結びつけようとしたこと。
③ユング関連からいえばアンパンマンの顔は「曼荼羅」かもしれないとも思ったこと。
④善と悪の戦いでキリスト教から天使や悪魔の戦いを関連付けようとしたこと。また善から悪への転換ということで堕天使ルシファーのことを書こうとしたこと。
などなど、思ったこと、考えたことを書き連ねようとしましたが、どんどん最初の本題から離れていくので、これらはやめました。(自分の備忘録として記しておきました)

「アンパンマン考」はここで大体半分くらい書きました。まだ残り半分あります。これをクリスマスまでの5日間ほどで、どうしても書き上げたいんです。まあこれには訳があるのですが……。でも間に合うかどうか……。徹夜で仕事にも影響が出始めました。。。そこまでしてアンパンマンに付き合うのも、娘のためでしょう。でも、これがどうして娘のためなのかは、最終回で書きます。
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Comment

[481]
突然コメントすみません・・
でも儀式と表現するところがすごく興味深かったです!
アンパンマンという子供の番組をこんな風に考察できるとは・・神話や善悪というテーマ、意外と深いですね。
[482]
面白く読ませていただきました!子供向けの番組って、表は単純そうに見えて実は思いがけない意図やメタファーが隠れてたりしますよね。私もアンパンマン等のアニメを見て育った世代ですが、大人になって振り返って初めて気づくことって本当に多いです。

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消えた二十二巻

Author:消えた二十二巻


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