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物語を物語る

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アンパンマン考 7 すべての人の心の中にバイキンマン(悪)はいて、すべての人の中にアンパンマン (善)は存在する。

物語を物語る

前回の続き。アンパンマンについての第7回目。

前回までで、物語としてのアンパンマンが、「人の心の中の葛藤」を描いたものであり、それは「永遠」(心の中の欲望は果てしない)に続くものである、といったところまで書いてきました。
そして物語の基本的関係は、「欲望」(ドキンちゃん)から湧き出た「欲動」(バイキンマン)を抑えるため「自我」(アンパンマン)が必要である、といったことになります。
私は「人間の欲望とそれを抑える自我」これがアンパンマンのテーマだと思います。
では今回は、「暴走した欲動・捕らわれた自我」で書きます。
つまりこんな状態。
008_20071220002516.jpg
捕らわれたアンパンマン(自我)、バイキンマン(欲動)が貪り食ってます。

さて、貪欲な人間というのは、心の中のアンパンマン=自我が、バイキンマン=欲望に負けている状態なのではないか。そう考えていくと、自制心を失った犯罪者がいかに多いか、ということに気がつかされます。

養老猛司「バカの壁」では、人間の欲についてこう書いています。
「欲というのは、現代社会ではあまり真剣に議論されていない。欲を欲だと思っていない人が多い。欲を正義だと思っている。人間の欲を善だというふうにしてしまうと、行き着く先は、金権政治家みたいになってしまう。欲というのは単純に性欲とか名誉欲とかではなく、あらゆる物は欲だといえる。 中略 結局考えていくと、全ての背景には欲がある。その欲をほどほどにせいというのが仏教の一番いい教えなのです。誰でも欲はもっているので、それがなければ人類は滅びるのはわかっている。しかしそれを野放図にやるのは駄目だ、と。欲にはいろいろな種類がある。例えば、食欲とか性欲とかというのは、いったん満たされれば、とりあえず消えてしまう。これは動物だって持っている欲です。ところが、人間の脳は大きくなり、偉くなったものだから、ある種の欲は際限がないものになった。金についての欲がその典型です。キリがない。要するに、そういう欲には本能的なというか、遺伝子的な抑制がついていない。すると、この種の欲には、無理にでも何か抑制をつけなければならいのかもしれない」

では今度は、茂木健一郎「欲望する脳」(集英社新書)から
「人間は、自分の生の衝動をストレートに発揮するとき、他者の都合などすっかり忘れている。この点にこそ、人間の欲望が決して予定調和には成り得ないということの根本的理由が見出される。欲望に本質的に内在する脆弱性が現れるのである」
「時代は巡って、文明が人間の欲望を解放し、欲望に従うことこそが経済システムにとって望ましいことである、という欲望の制度化が進んでいる。自分の欲望をできるだけ制限しないという態度を支えるテクノロジーがここまで進んだことと、昨今私たちが目にする文化表象は決して無関係ではない。現代人は、いろいろな意味で我慢することを忘れたのである。」
「コントロールすることのできない他者に向かうからこそ、欲望には、根本的な脆弱性がある。その脆弱性に儚さを感じて、いっそ欲望を否定してしまえという衝動は、仏教だけの専売特許ではない。ありとあらゆる宗教に、そのようなモチーフは存在する。それは人間の脳の一つの安定解である。しかし恐らくは、他者に対する欲望の中に潜む脆弱性ととことん付き合うことの中にしか、人生の恵みを味わうことも、人間の脳という不可思議なにして力強い臓器の潜在的力を生かす道もないのである。ひょっとしたら、そこにはテストやドリルのような決まった答えはないかもしれない。その答えのない無明の領域で自己について考え、他者について考える。これ以上の脳のエクササイズはないように私は思う。欲望の内包する脆弱性に目覚めた者が、その自覚の下に自身の欲望と真摯に向き合おうとする時に、そこには孔子以来多くの思想家が取り組んできた人生の倫理問題の核心が立ち現れるのである。」とある。
この説明は難しい。
だが、私が思うに、この「欲望と真摯に立ち向かっている」のは彼なのではないか。
003_20071220002539.jpg


この本の「まえがき」にこう書かれています。「自らの欲望の成り立ちを見つめる時に、人は自分であることの苦しさと喜びに目を開かれていく。欲望することが人の定めならば、せめてその正体を精(くわ)しく見つめてみたい」とある。極端に簡単にすればこういうことでしょうか。
アンパンマン20
心の中の戦い。暴走する欲望と戦う自我。

図解雑学 フロイトの精神分析」鈴木晶著(ナツメ社)では、人の欲望についてこう書いてあります。
「フロイトは人間のこころの病だけではなく、人間の作った社会や文明についても理論を展開している。
動物の場合は、本能に従って生きていればいい。動物は、本能によってその動物と周囲の自然とが、パズルがぴったりとはまるように、うまく噛み合っていることだ。ところが人間の場合は、本能が壊れてしまったため人間と自然との間に隙間ができてしまった。その隙間を埋めるために(いいかえれば、壊れてしまった本能を埋め合わせるために)、人間は文明や文化を作り出した。文明や文化とは、簡単にいえば、生活レベルが高まり環境が変化していくことで、集団を形成することも社会を形成することも、その一つである。その文化や文明のおかげで、人間は生きていけるのである。こうしたものを作ったのは人間が動物よりも優れていたのではなく、そうしなければ、生き延びてこれなかったからである。
しかし、文化や文明をつくり出した人間は、しだいに社会によって我慢を強いられるようになった。
人間は1人では獣を捕まえることはできないので、集団を形成し、その集団はやがて社会を形成するようになった。そして社会を維持するために、法律などの掟やルールを設けた。しかし、人間には無意識の中に本能的な欲望があり、それを現実を無視し、ひたすら満足を求める。個々人がその欲望のままに動いたら、社会は成立せず、人間は生きていくことができない。そのため、人間はいろいろな欲望を我慢しないといけない。このように、自分たちで作った社会は、個々人のわがままを許さず、人間を抑圧しているのである。
人間は、社会を維持しその一員として生きていくために、本能的な欲望の中でも、特に性欲と攻撃性を抑圧する必要がある。性欲についていえば、人間は夫や妻を何十人も持つことはできないし、性欲を自分の好きなだけ満足することはできない。また、攻撃性についていえば、殺したいほど他人を憎んでいたとしても、殺すことは許されない。性欲や攻撃性を満たして他人を傷つければ、法律などの掟やルールによって罰せられ、社会から排除されてしまうのだ。
だが、性欲や攻撃性は生まれつき人間に備わっているため、我慢することはできても、それ自体をなくしてしまうことはできない。そのため、人間はいつでも抑圧され「欲求不満」の状態に置かれているのである。そして、その不満がこころの病を引き起こすのである。」
「抑圧されている欲求が浮上するとき→社会生活で満たすことが許されない本能的欲求は、普段、抑圧されている。つねに浮上しようとする攻撃性や性欲は、他のこと(趣味をする、スポーツをする、ストレスを発散させる)に転換させ、満足させていることも多い。しかし何らかの要因によって抑圧されていたものが浮上することがある。(解放)」
「戦争のような状況では、攻撃性を解放されることが許されているため、人間は思う存分、攻撃性を満足させようとする。(敵を惨殺したり、敵国の婦女を暴行したりする行為)」
これらは、フロイトが考えたこと。欲望の果てには、遂には人間性が失われてしまうということなのでしょうか。


つまりバイキンマンの力が増して、抑えるべきアンパンマンの力が弱くなったとき、人は欲望のままに行動する。それはいつか、他者の物を奪い、他人を傷つけ、殺人を犯すことになるだろう。
昨今の犯罪を見てみれば、欲望を抑えきれなくなった人間の犯行がなんと多いことでしょうか。しかも簡単に残酷に人を殺している。これはあまりにも心の中のアンパンマンの力が弱まっているか、ということになるでしょう。
ちょっと自制心(心の中のアンパンマン)が働けば、起こらなかった犯罪も多いはずです。そしてそのために命を落とした人もいないということになるのです。

では「悪と魔の心理分析」頼藤和寛著(大和出版)から

「われわれ人間はいったん悪の道には染まると、いよいよ易きに就いて堕落しやすく、また不品行というものが(良心の呵責を別にすると)、ある種の開放感を与えてくれるという経験則も認められるのである。 中略 人間の歴史において繰り返されてきた悪行の数々は、われらと無縁ではない。ネロもヒットラーもポル・ポトも、われわれと同じ種族に属するヒトであった。悪鬼羅刹や魔物やエイリアンといった邪悪な存在のイメージを創出し、共有してきたのもわれわれである。それらすべては、われわれの身内や心から発現してきたものだ。われわれ全員の心の奥にそうした凶々しい側面が隠れていないという保証はない」

そう、だれもが心の中に「欲望の暴走をする悪」バイキンマンが潜んでいることになる。

そしてそれを抑え、打ち砕くために、アンパンマンは心の中にいる。

となれば、欲望が異常に求められている現代に必要なのは、「心の中の強いアンパンマン」ということになるのではないか。
002_20071220002528.jpg


まだまだ次回に続きます。
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