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物語を物語る

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平泉、世界遺産「登録延期」事実上の落選 。そして「世界遺産」の現状。

物語を物語る

2008年7月7日、ユネスコは「平泉」の世界遺産登録認めなかった、というニュースが流れた。

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20080707-380859.htmlから
『平泉、登録延期に落胆の声相次ぐ

 「非常に残念」-。世界遺産委員会が「平泉の文化遺産」(岩手県)の世界遺産登録の延期を決めた7日、地元関係者が一様に落胆した。

 平泉町民らで組織する平泉町世界遺産推進協議会の穂積昭慈会長(81)は「相当期待していたが、非常に残念。世界遺産委員会の委員が全員(平泉町などの)現地に来たわけではなく、平泉の持つ雰囲気が伝わらなかったのではないか」と言葉少なに話した。

 ユネスコへの推薦状作成に当たった工藤雅樹福島大名誉教授(70)も「正直、残念。あらためて国や県が協力して地元自治体としっかり協議して今後の対策を考えてほしい」と述べた。

 厳しい表情で審議結果の電話を待った岩手県平泉町の高橋一男町長。「34分間慎重に審議してもらった結果、残念ながら登録延期だった」と落胆ぶりは隠せない様子で「道が閉ざされたわけではない。審議の内容を精査して今後とも全力で取り組んでいく」と声のトーンを落としながら話した。

 県の大月光康生涯学習文化課総括課長は「誠に残念(という)以外言葉がありません…」と話すのが精いっぱいだった。』
また、
『日本推薦の世界遺産候補地が「落選」するのは初めて。平泉の世界遺産登録を再挑戦するには、推薦書の提出からやり直さなければならないため、最短でも2年後の世界遺産委を目指すことになる。』
ということで、再挑戦は最低でも2年かかる、とのことだ。

では落選した理由はどこにあったのか、ネットで検索してみた。
そこで、いい記事があったので転載しておく。
以下の記事は、佐藤弘弥氏が書かれた1年前の2007年5月14日のもの。
石見銀山が一時「世界遺産登録延期」になったときのもので、これに合わせて平泉のことも書かれている。
今回の落選がどこにあるのかを既に予測されていて、実に秀逸である。
http://www.news.janjan.jp/culture/0705/0705145503/1.php

『平泉は大丈夫か?!
 遺産の範囲を当初よりも拡大したということについては、同じ年(2001)に暫定リスト入りした平泉にも当てはまる可能性がある。平泉には今秋にイコモス委員会の調査委員がやってきて、来春に調査報告書をユネスコに提出し、夏にも登録される運びとなっている。

 また「銀山」というものの普遍的な価値が証明されていない、というのであれば、「浄土思想」というものも、同じことが言えるのである。「浄土とは、いったい哲学なのか、宗教なのか」と正直な見解を吐露されたイコモスのオランダ委員のロバート・デ・ヨング氏の昨年6月の指摘は、まだ生きていると考えるべきだ。

 昨年12月にユネスコ世界遺産委員会に提出された平泉の「推薦書」によれば、「浄土思想に基づく……」という言葉を簡単に言って、日本人の認識を前提にして記述しているが、浄土思想そのものが、西洋人にとっては、極めて難しい概念で、私は「浄土思想」を持ち出す前に、平泉を中心とする東北地方で起こったゴールドラッシュとそれに伴う戦争の悲惨を説明し、初代清衡が到達した平和思想をこそ、強調すべきであると考えている。

 浄土思想という時には、マミダーバ(阿弥陀信仰)の説明も必要となる。それであれば、西洋人に対して、世界遺産条約の前文の先取性も比較的容易に証明できる「中尊寺落慶供養願文」の平和思想の根本を詳しく説明し、恒久平和の理念を持って建設された都市「平泉」の普遍的歴史的価値を全面に押し出すべきである。
遺跡を荒らす平泉の愚 
 昨年の「平泉文化遺産」国際専門家会議では、そそくさと見せたくないところは、さっと流して見せたので、問題も指摘されなかったかも知れないが、世界中の遺跡を調査しているイコモスの専門家が独自の視点で、様々なチェック項目を持っているはずだから、現在の工事現場そのものにしか見えない北上川、衣川周辺の遺跡群を見て、何でここまで遺跡を荒らすのか、と思わない方が不思議である。
 さて平泉の推薦書には、その柳の御所跡について、『奥州藤原氏の政庁「平泉館」に比定され、政治・行政の中心的な施設であったことを示す地下遺構や豊富な遺物が良好に残されている』というが、往時の景観が平泉バイパスによって、完全に破壊され、何をもって良好に残されていると言えるのか、この推薦書を策定した人物の思いを知りたいのである。
それは、はっきり言えば、外国人がその遺跡を一目見て、「美しい」とか、「これは価値がある」とシンプルに理解できるような景観を整備することだ。それこそが「コア・ゾーン」(核心地帯)の概念なのである。
 問題なのは、過剰な開発思想によって、バイパスができ、河川改修が進み、あってはならない遺跡のすぐ脇が工事現場そのものと化していることだ。特にコア・ゾーンとして、景観破壊の著しい柳の御所跡、無量光院があることは、ネックになることが予想される。

 現在の平泉で、世界遺産としての価値を十二分に有していると思われる地域は、中尊寺、毛越寺、達谷窟(西光寺)、骨寺遺跡の4つと言ってよい。一関骨寺の場合は、村の中央を流れる本寺川のコンクリートを自然工法で、本来のせせらぎに戻すことが早急に必要である。 』


世界遺産登録から外された今、この記事を読むと、問題点がどこにあったのかが分かる。

やはり、西洋人に「浄土思想」を理解させるのは難しいし、その点を押しすぎたのではないか。
平泉が、奥州藤原氏や源義経などが登場する日本史上で重要であることは日本人なら分かる。だが、その歴史的の価値を外国人に伝えることは困難だろう。よって世界遺産の登録基準である「人類が共有すべき顕著で普遍的な価値をもつもの」に平泉があたらないとなるわけだ。
だが、登録されなかったからといって、これで平泉の文化的価値が下がるわけではない。しかしこの落胆ぶりはどういうわけか。
「世界遺産」という名の冠があまりにも大きくなり過ぎているのではないか。この「世界遺産」という権威付けは、その本来の目的からだんだんと外れてきていると思うのは、私だけだろうか。
世界遺産登録に躍起になっている自治体が、日本にも多くある。そこに多くの金と人と時間をつぎ込んでいる。「世界遺産」という名を出せば、予算が取れる、地域開発の名目が立つ、といった状況になっているのではないか、と疑っている。
今、日本ではちょっとした観光地、名所でも「○○を世界遺産に!」なんて看板が立ち、その自治体の役所にいけば垂れ幕さえ掛かっている。どこもかしこも「世界遺産を目指そう」ブームとなっているのだ。これ、数が増えると質が落ちるのと同じように、これでは「世界遺産」の威光も有難味も薄れていくのではないか。
世界遺産に登録された850件以上もある飽和状態の中、登録数を押えようという意向がユネスコにある限り、日本で登録される所も少なくなるだろう。
そんな中で、「世界遺産登録」なんて望みも薄いのに、懸命に金をつぎ込むのはどういったことなのか。(なんか東京のオリンピック招致にも似ている)
そういった意味でも、世界遺産について考える時期にきているのかもしれない。


またWikipediaには世界遺産に認定された後の「観光地化」の問題点を挙げている。
『観光地化
世界遺産に登録されることは、周辺地域の観光産業に多大な影響がある。 白川郷、五箇山では、登録後に観光客数が激増した。一方でそれにともなう摩擦もある。世界遺産の公共性を曲解した一部観光客が住民の日常生活を無遠慮に覗き込むなどのトラブルも発生している[4]。 また、観光地化を目的として世界遺産に認定してもらおうという動きが少なくとも日本においてなされており、それが長年に渡って世界遺産認定を目指している鎌倉で2007年11月に神奈川県職員の公文書偽造という事件となって表面化した。また観光地化することで保全の妨げになってしまうなど、世界遺産の意義が問われている。そのため、世界遺産認定に反対する人も存在する。』

やはり、観光地されたときの経済効果を狙った自治体も多く、それによる弊害も増えることになる。
ちなみに
現在、日本の暫定リスト掲載物件は9ヶ所ある。
古都鎌倉の寺院・神社ほか
彦根城
平泉-浄土思想を基調とする文化的景観
富岡製糸場と絹産業遺産群
長崎の教会群とキリスト教関連遺産
飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群
富士山
国立西洋美術館本館
小笠原諸島
ほかに琉球諸島の暫定リスト記載内定。

そして日本で世界遺産に登録されたものが14か所。
法隆寺地域の仏教建造物 - (1993年12月)
姫路城 - (1993年12月)
古都京都の文化財 - (1994年12月)
白川郷・五箇山の合掌造り集落 - (1995年12月)
原爆ドーム - (1996年12月)
厳島神社 - (1996年12月)
古都奈良の文化財 - (1998年12月)
日光の社寺 - (1999年12月)
琉球王国のグスク及び関連遺産群 - (2000年12月)
紀伊山地の霊場と参詣道 - (2004年7月)
石見銀山遺跡とその文化的景観 - (2007年6月)
屋久島 - (1993年12月)
白神山地 - (1993年12月)
知床 - (2005年7月)

やはりこの表をみると、石見銀山が登録されて、どうして他がダメなのか、といった基準判断の曖昧さが出てくる。これで、富岡製糸場が登録されたら、平泉が落選された意味が分からなくなる。
それに、ここに名が上がっている所よりも、もっとふさわしい場所が思い浮かんでしまうのは、私だけか。そう考えていくと「あそこは」、「ここは」といった場所が次々と出てくる。
でも、今回のように、平泉が登録されないのなら、他もダメだということになるでしょうね。
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