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農耕民族の日本人に、プロ野球の「クライマックスシリーズ」は馴染まない!

物語を物語る

大雑把な話を書きます。

まず、「世界の日本人ジョーク集」早坂隆著(中公新書ラクレ)から、

ロウソクのわけ
 あるアメリカの大学の期末試験。日本からの留学生スズキは合格だったが、アメリカ人のジョンは不合格だった。ジョンは言った。
 「試験に合格するようにって聖ペテロにも聖母マリアにもロウソクの炎を灯してお祈りしたのに、不合格だなんて」
それを聞いたスズキがいった。
 「僕もロウソクを灯したけどね」
 「そうなのかい?君たち日本人も、聖人にロウソクを灯すのかい?」
 「そうじゃないよ。ロウソクを灯して徹夜で勉強したんだ」

これは「日本人の勤勉性について」というところで紹介されたジョークで、欧米人は「日本人を努力を惜しまない人々」と見ていることが分かる。面白いのは、成功するには、欧米人は「神に祈る」、日本人は「努力」だということ。
またこの話が「冗談話」に聞こえないほど、日本人はみずから「勤勉だ」と自任しているのではないだろうか。そして、努力したものにはそれなりの「報い」があると、日本人は信じている。

で、話は変わる。
先日、会社帰りの車の中でラジオを聴いていたら、番組内でかなり怒っている人がいた。
リスナーが電話で意見を言い合うといった企画で、テーマは「プロ野球のクライマックスシリーズ」だった。
どこが優勝するか、といったことよりも、クライマックスシリーズの「制度」そのものに怒っていた。
3位の中日ドラゴンズが2位の阪神タイガースに勝ち、これで、もし1位の巨人・読売ジャイアンツに勝って日本シリーズに進んだら、「今までリーグ戦で優勝した意味がない」といった内容であった。
また続いて出てきた人も同じような意見を言い「半年かけて戦って優勝したのに、数試合して負けたからといって「日本シリーズ」に出られないのは、納得がいかない」、「それでは今までの努力が報われない」「がんばったのに可哀そうだ」といった人もいた。

これを聞いて何となく「日本人」らしい考えだな、と思った。

これって、農耕民族といわれる「日本人」の気質がよく出ている、とも思った。
日本民族は数千年来、水田稲作を中心にした定住型農耕民である。(もちろん非農耕民もいるが、ここではあくまでも農耕民を中心とする)
作物を栽培し育て、その実りを収穫する。それには長い期間を要するわけだ。
つまり「コツコツ」働いた者は、その努力に見合った「喜び」を得られる、といった考えだ。
目標実現のため心身を労してつとめ、その「勤勉性」に美徳を感じ、またその努力には報いがあって、そこに「よい結果」があると信じている。これが日本人の気質だということ。
ここに、プロ野球の「長いリーグ戦」を「農耕」に見立ててみると分かりやすいのだろうか。「コツコツ」と勝ち星を積み重ね、努力したチームが報われて優勝する。ちょうど時期も「春に田植えで秋に収穫」「春に始まり秋に結果」というのも同じで、こういった季節感も重ね合わせてみると面白い。そうなると、農耕社会で収穫を感謝する神事「秋の祭り」は、野球でいえば一年間行われたシメにあたる「日本シリーズ」と似ていて、ともに年に一度の「祭礼」にも通じる。

これに相対するのが、欧米人の「狩猟民族」といった考えだろうか。
狩猟というのは「運、不運」に左右される。よって、「神」の存在が重要になる。
磯部忠正著「日本人の信仰心」(講談社現代新書)には、
「ユダヤ教・キリスト教発祥の地が砂漠であり、これを奉じた民族が遊牧の民であったことを思えば、羊や山羊とともに生活し、同時に羊や山羊を主たる食糧としていた彼らにとって、これらの動物を殺して食べることは、われわれが空気を吸って生きるように、生きることの大前提である。そこに罪とか憐みの情さえおこる余地はないであろう。自分たちの日常の食糧とならない動物を殺したり、食べたりすることについて、彼らには道徳的反省や宗教的判断が生ずるのであるが、それも聖書で示されたとおり、人間が動物とは別の存在で、動物一般の上に位置するという前提に立っている。……」「狩猟や牧畜や漁労の生活は、生命の危険をともなうかわりに、積極的な、果敢な生活を生き方である。そこに生まれる神観や死生観は、おのずから思い切りのいい、透明感なものである。 しかし定住農耕民は、……」
などとある。
つまり、狩猟・遊牧民にとっては、神への服従、祈りが大切となり、日本人・農耕民と大きな違いを見せる。
牛や豚は神が人に与えてくれた(作ってくれた)ものと考え、またすべてものが神から人間に与えられたものと、キリスト教徒は考えている。
だからこそ神から与えられたものを生かした者が称賛される。
それは物ばかりではなく、才能や能力なども神からの贈り物・「ギフト」だと考えたりする。才能のある子供が「神の子」と呼ばれたりするのはその一例。だが日本人は才能は養われるもの、自ら努力して身につけるものと考えている。
よって先ほどの「世界の日本人ジョーク」のローソクの話は、欧米人と日本人と宗教観、思想観の違いをよく表している。

これを踏まえて、「野球の話」に戻る。
さきほどのラジオの人、長いリーグ戦を制したチームが「日本シリーズ」に出られないのは「おかしい」といった件だが、もし、下位のチームが短期決戦で勝ったとしても、それはルールであり、勝ちは勝ちなのだからいいことなのだか、なぜか「トンビに油揚げをさらわれる」ような感じがして、どこか釈然としないものを感じるらしい。しかも、一般的日本人は、タナボタ式に得をした人を、なぜか「ずるい」と感じるようだ。
一方、アメリカ人はそんなことを思うのだろうか。いや、ここが日本人と違い、アメリカ人は「勝ち上がってきた者」こそ称賛されるのである。
アメリカ人の考えでは、「アメリカンドリーム」「フロンティア精神」といった言葉が大好きで、「チャンスを生かす」「征服して開拓する」といったことに美徳を感じる。
こう見ていくと、アメリカ人は「石油を掘り当てて金持ちになった」とか「チャンスを生かして一夜にしてヒーローになった」とか「ラスベガスで一攫千金で大儲けした」、「ウォール街で、株で儲けて大富豪」といった話が大好きで、また美談ともされる。
よって、チャンスを生かして、ワールドシリーズで勝ち上がっていったものを「勝者」とする。
(これはインディアンや原住民を征服した「キリスト教徒」の考えにも通じる。)
この「チャンス」「機会」は神から与えられると、欧米人は考えている。これは、羊や山羊は、神が人間に与えてくださったものと信じている狩猟民族的考えと同じである。

昨今のマネーゲーム、株の売り買いで利益を上げるといったことも「アメリカ人」は好み、反対に「日本人」は、「IT社長が濡れ手に粟で大儲け」「成金主義」なんて者を軽侮し、反発し、「苦節20年で、ノーベル賞」「生涯一筋、本業に励む」なんて話を喜ぶ。
宗教観の違いが、価値観の違いとなってくるわけだ。
他の民族が喜ぶようなことも、日本人には馴染まないことだってあるということだろう。

で、結論として、同じ野球でも、アメリカ・大リーグで行われている「ワールド・シリーズ」出場権は、アメリカ人の感性をとらえたやり方であるが、農耕民族的考えの日本人には「クライマックスシリーズ」は合わない、ということです。
(これはあくまでも私個人の見解なので、そんなことはないといって怒らないでください)


さてこれだけ「農耕民族」「狩猟民族」と書いてきたが、
実はこの分け方はないようだ。
詳しくは、
ヤフー知恵袋http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1011236510
教えてgoo!http://oshiete1.goo.ne.jp/qa76436.html
などで、確かにこの通りです。

ただ重要なのは、「日本人って農耕民族だよね」と自ら言い、自らが認めて、それが広く浸透しているという事実。

これは日本人は「自分たちが農耕民族だ」と思うのが好きだということだ。
「農耕民族」の言葉の中に「勤勉」「真面目」「忍耐」「努力」といった意味が含まれていて、日本人の美徳とするものがそこにあるからだ。「それに反して、狩猟民族の欧米人は…」という意味でも使われている。

そう考えていくと、「農耕民族、狩猟民族」なる分け方は、「民族学」的には間違っているけど、日本人を理解する上で「民俗学」的にはとても興味深い事柄だ、ということになる。


追記  この記事のあとに、セ・リーグは巨人が勝ち、パ・リーグは西武ライオンズが勝って、「日本シリーズ」に進出しました。それぞれ長いリーグ戦を制したチームでした。
そのとき巨人ファン、西武ファンでなくても「あ~、よかった」「「苦労が報われた」なんて声が上がり、「3位のチームが勝ったら申し訳ない感じがして、ある意味、ほっとした」と言った中日ファンもいたようです。(テレビの街頭インタビューで見た)
「やっぱり、リーグ戦を優勝したチームが勝って良かった」と思った人は「標準的日本人」だということではないでしょうか。
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