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伊藤洋一著「日本力」は面白い。 なるほど「中国には祭りがない」のか!

物語を物語る

毎朝のマイカー通勤で、TBSラジオの「森本毅郎・スタンバイ!」を聞く。
この番組では朝7時から、日替わりで経済や政治の専門家がコメンテーターとなって、ニュースを解説していくコーナーがある。
取り上げるニュースも他の局とは違う経済系が多く、これが分かりやすくてとても重宝している。
ただ当ブログでは「株価が当たらない経済専門家たち」という記事で少々悪口を書いたが……。
さて、そのコメンテーターの中で金曜日を担当しているのが「伊藤洋一」。
テレビでもよく見かける方だ。

ある日書店で、その伊藤洋一氏の本を見つけた。
日本力  アジアを引っぱる経済・欧米が憧れる文化!』(講談社プラスα文庫)
伊藤洋一「日本力」
まず、表紙と題名に惹かれて手に取った。
経済書だけど、これが異色「日本文化」についての記述が多くて異様なほど面白かった。
まえがきには

優れたモノやサービスを作り出す能力という点において、日本には他の国々にはないパワーと価値観があると筆者は考える。そもそも「士農工商」のように、身分制度の中に「工」をしっかり入れている国は、私が調べる限りではほとんどない。日本にはいにしえの「工」が作った逸品が数多く残る。日本は大陸から技術を持つ人々を数多く迎え、その人達の技術を伝承し、さらに磨きを掛けて育ててきた。そうして磨いた技術、美的センスは、いつの時代にも世界に通用するだろう。依然として、そして今後も、日本の作り出す製品の素晴らしさは、世界を魅了するだろう。
たとえ人口が減っても、日本人は悲観論に振り回される必要はない。なすべきことはいろいろあるが、今後も大きく変化する世界の動きの中でその流れをつかみ、それに知恵を使って参加し、その文化、製品、考え方、そしてサービスで世界と交流していけば、日本は今後も世界において独自の地位を占め続けるだろう。

とある。
日本を「溢れんばかりの創造性に恵まれた民族」として、日本の底力、魅力を存分に書いています。また韓国、中国、インドの現状と未来についても詳しくこれも参考になる。
日本国内を覆っている悲観論を吹き飛ばしていく勢いが貫らぬかれていて、とにかく前向きなのだ。
なぜか読んでいて「元気」になれるという稀な経済書だ。
この本は必読です。

その中で、これはなるほどと唸ったエピソードを引用してみます。
長文ですが、あまりにも感心したので、そのまま引用しました。

「祭りなき国」の民衆は

中国に関して、日本人がほとんど知らない一つの重要な事実を指摘しておこう。これは、筆者も富士通総研経済研究所の方に聞いて驚いた。筆者だけでなく、日本人はこれを聞くと誰しもが驚く。しかし、中国問題を考えるとき、非常に重要なポイントなのである。
中国には「祭り」がないのである。2004年末だが、私が司会しているラジオ番組で、南京出身の柯隆さんが、以下のような非常に興味深い話をしてくれた。
「中国には日本各地で開かれるような祭りがないのです。かつての中国には祭りがありました。民衆はそこでエネルギーを発散していた。不満のはけ口だったのです。今の日本の祭りにはそういう意味合いもあります。
ところが今の中国には祭りがない。共産党革命が起きた時に、新政府が祭りを禁止したのです。民衆の熱意が発揮される祭りが、共産党は怖かったからです。その代りに共産主義・毛沢東思想を学ぶ勉強会を行った。しかし、これでは民衆のストレスは溜まるばかりです。時には民衆の暴動も起こるし、サッカー場で騒いでみたくなるのもうなずけます」
これについては、中国を旅行や出張で訪れる普通の日本人は気づかない。中国で育って、日本に来て、そして、日本で生活した人しか気づかない、重要な日中の違いなのである。柯隆さんは、まさにそういう人であった。柯さんも、そして筆者も、これは今の中国で起きている一連の出来事を理解するうえで、極めて重要なポイントだと考える。
「祭りはしばしば民衆に楽しみを与えると同時に、民衆の不満のガス抜きに使われた」というのは、多少歴史を調べたことのある地方史家の私の父親なども、しばしば口にしていた。その祭りは今でも日本各地にあって、中には相当乱暴な、男や社会のストレスを発散させるようなものがある。死者もしばしば出る諏訪の「御柱祭」、岸和田の「だんじり祭」などが代表的なものである。地方史の専門家であった、父親は、「諏訪には民衆暴動の記録はない」「これは(全国でも)非常に珍しい」と言っていた。これは、「諏訪には非常に荒々しい祭りがあったからだ」とも考えられる。そういう大きな祭りは、日本国内に数多くあって、ニュースにしばしば登場する。
「祭り」には、「ハレ」(晴れ着の語源と言われる。普段と違うことをすること)と「ケ」(日常生活)という区別で考えれば、明らかに「ハレ」である。そこにしばしば無礼講で、社会的地位の差なく盛り上がり、楽しみ、そして一年の区切りをつくっていく。祭りを盛り上げるのは創意である。それは想像力・創造力の源泉ともなる。これこそ「日本力」の根源ではないか。
日本では明らかに、祭りが一年や季節の区切りとなっている。それは社会の安定にとって極めて重要だ。さらに重要なのは、日本では祭りが増えている、ということだ。都市などでは筆者の生活圏だけ見ても、たとえば、東京の高円寺の阿波踊り、阿佐ヶ谷の七夕など「借り物祭り」が増えている。こうした祭りが、日本という国を極めて多様にしていると言える。
中国に祭りがないというのは実に意外だが、事実である。中国出身の柯隆さんだからこそ、日本との差を確信できるのであろう。「春節は中国の祭りだ」という人もいる。しかし、春節は日本で言ってみれば正月である。正月は日本では祭りではない。日本の祭りの多様性と頻度は、世界でも例のないものである。これも、「日本力」のバックグランドにある「遊び心」をくすぐる要因になる。
確かに、中国に2004年だけで3回行った私も、「中国の祭り」については聞いたことがない。リオのカーニバル、アイルランドの聖パトリック・フェスティバルなど、日本にいても世界各地の祭りは報道される。しかし、「中国の祭り」は聞いたことがない。
祭りのない国は寂しいし、ましててや日本のように職場で働いたあと同僚と酒を飲みに行くといった習慣のない中国では、民衆、特に8億人いる農民の生活は、一貫して「ケ」の連続のようなものである。
むろん、それだけが反日デモ、さらには反日デモの騒擾の原因だと言っているわけではない。大きな事件やその発展には、複雑な要因がからまっている。しかし、映像を見る限り笑顔もあるデモが徐々に盛り上がって険悪な破壊行為になるまで発展する展開を見ていると、「祭り」さえも許されない中国社会の窮屈さが、「反日」という理由を見つけながら、サッカー場や諸都市の路上で爆発している印象がする。
祭りは、言ってみれば「管理された騒擾」である。人々はそこで日頃の「ケ」の生活を忘れ、「ハレ」の数日間に賭け、そしてそれを楽しむ。1年の間に日程がきっちり決まっているのが祭りだ。人々はそこで鬱屈を晴らそうと日々働き、「ハレ」の日を楽しみ、そうすると次の日からの「ケ」」がまた新鮮になる。
中国要人に極めて近い人は、2005年の春に吹き荒れた反日デモと騒擾に関して、「よかった。あれで鬱憤晴らしができた連中も多いだろう」と語っていたという。この人物が、「よかった、よかった」と素直に喜んでいたらしい。こうした発言が反日デモ仕掛け説につながるのだが、筆者は、中国の反日デモにも、たしかに「管理された騒擾」の面はあったし、日本の祭りと同じ要素を持っていると思う。だからこそこの人物は、「よかった」と快哉を叫んだのである。
中国の「管理された騒擾」が日本の祭りと違うのは、時期も対象も決まっていないということだ。それを決めるのは、共産党である。ベオグラードの中国大使館がアメリカから誤爆されれば、その矛先はアメリカに向く。中ソ対立が激しかったときには、それがソ連にしばしば向いた。ベトナムに向いたこともある。今回の反日デモ・騒擾には、そういう要素があったのである。しかし、それが最後まで管理されていたかどうかは疑問だ。
2005年春の一連の反日デモや騒擾は、日本の安保理入りや歴史教科書問題など政治を起点としていると言われる。それはそうだろう。しかし、デモが拡大し、それが騒擾にまで発展する背景には、「中国には祭りがない」という日本人が気づかない要因が影響しているように思う。

これは面白い。
「ハレ」と「ケ」という記述がある経済書というのはあまりないだろう。私にはこの視点がたまらない。
中国の文化大革命は「旧思想、旧文化、旧風俗、旧習慣」をことごとく破壊してしまったから、「祭り」がない。これを逆にいえば、日本がこういったモノを守ってきたからこそ、今の経済の発展があるともいえるのだ。
ここに注目し、重要視した伊藤洋一氏は鋭いということなのだ。
また、あとがきには、「この本の出版の直前に亡くなった尊敬すべき父親、伊藤麟太郎にも心からの感謝をしたい」とあった。なるほど、郷土史家の父親の影響があったのだ。こういったところに目を付ける点からみても、これは確かなことだろう。

さて、他に『上品で美しい国家―日本人の伝統と美意識』(ビジネス社刊・日下公人との共著)という、実に「そそられる題名」の本もあるらしい。これもさっそく探して読んでみます。




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