スポンサーサイト

物語を物語る

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「日本」「文化」「科学技術」、そして「亡国への道」

物語を物語る

「日本」を語っている記事を3つつなげてみました。
何か見えてくるはずです。

 平成21年11月21日 読売新聞「論点」 ダンカン・ウィリアムス (カルフォルニア大学バークレー校日本学研究所長)の記事から。

 米国における日本研究
カルフォルニア大学バークレー校日本研究所が昨年50周年を迎えた。今年末まで、様々な分野でシンポジウムや講演などを行っている。あらゆる分野で重要な功績を残してきた日本をアメリカ人に強くアピールするためだ。その内容は、政治、経済から仏教、スポーツ、建築、食文化と多岐にわたる。
今回、一連の行事を企画するにあたって、大きなテーマに据えたのが、「ハイブリッド・ジャパン」という考えだ。
ハイブリッドカーなどでよく耳にする「ハイブリッド」は、異質な要素が融合するという意味である。日本はポップカルチャーに見られるように、現代的な要素と伝統、さらに世界中の文化を融合させながら独自文化を築いてきた。
かつてアメリカ人の中には「日本人はまねがうまいが、何かを生み出す力はない」などという指摘をする人もいた。しかし、融合は「革新(イノベーション)」というすばらしい財産を導き出している。このことは、長年の日本研究からも浮かび上がってきた。
例えば、宮崎駿のアニメーションはハリウッドのアニメと明らかに違う。手書きという要素もあれば、最新の技術も使われている。自然を守ろうというメッセージも発信している。世界が必要としていることが、彼の世界に込められているのだ。
アメリカにおける日本研究が本格化したのは1940年代。その後、80年代にも日本研究はアメリカ国内の大学で盛んになった。経済大国となった日本がアメリカにとって一種の脅威となったため、それに伴って大学でも日本のビジネスへの関心が高まっていった。当時「日経平均株価が上がれば、日本語クラスの学生が増える」とまで言われたものだ。
現在、アメリカ人の関心は日本から離れ、中国やインドに移行しているのではないかという人がいる。しかし、日本に対する関心が落ちているということではない。
実際、各大学の日本語の講座の人気は高い。最近の学生が日本の文化を知るきっかけとして、マンガやアニメ、日本映画などの影響が大きい。だが、歴史や文学などにまで関心の幅を広げ、研究を深める学生も多い。近年はこれまでになく研究の対象が広がっている。
アメリカにおける日本研究の最大の目的は、アメリカ人に日本のことをより深く理解してもらうことだ。だが、それだけではない。日本にとっても、大きな意味があると思っている。
アメリカの大学で行われている様々な分野の日本研究では、世界の中で日本をどう位置付けるかという客観的な視点が盛り込まれている。日本国内ではなかなかみえてこない点であるだけに、日本人がアメリカの日本研究に目を向ければ、日本の可能性を探る重要なヒントが得られるはずである
日本は新政権になって、これからどうなっていくのか、多くの日本人が不安を抱えている。そんな時代だからこそ、日本研究を発展させていく必要がある。
そのために、日本側も研究者や企業などがもっと日本研究に関心を持ってほしい。協力関係を一層強化し、研究を進めていくことは、日本が世界に存在感を示し、リーダーシップをとれるものが何かを考えるうえで役に立ち、日本の発展にも貢献するはずだ。

「傍目八目」。外国からの方が「日本」がよく見えるということのようだ。ここでは、日本人は何を強くすれば、何を意識していけばいいのか、という問題提起をしている。
さて、次は、山本七平著 「常識」の落とし穴(日本経済新聞社)から

外国人の鋭い洞察力
古い資料を読んでいると時々「おや!」と驚き、「なぜ?」と首をかしげる記述にぶつかる。今回も安政6年(1859年)に日本に来たイギリス公使サー・ラサフォード・オールコックの記述を読み、一体なぜ彼が、少々不思議と思える予言をしたのか、解きにくい謎のように感じた。それは次の言葉である。
物質文明について言えば、日本が、東方諸国民の第一位にあることは疑う余地がない。もし彼らに応用科学の知識において欠けるところがなく、機械工業が進歩するならば、彼らはヨーロッパ諸国民と優に競争しうるであろう。従って日本の統治者が政策として、交通および貿易を自由にし、日本をしてバーミンガム、シュツフェルド、マンチェスターなどと競争する自由を得せしむるならば、われらの蒸気機関や、すべての機械の驚くべき応用的知識は共に輸入せられて、彼らはたちまちのうちに、その手に成れる鉄器類をもってシュツフェルドと競い、その絹を以てリヨンと競争するに至ることは、疑う余地がない
彼が来た安政6年とは日本が開港した年。それまで彼は中国の福建と上海で領事をし、総領事として来日して翌年に公使に昇格し、翌万延元年には外人で最初の富士登山をしている。彼の記述はあまり日本に好意的ではなく、東方の諸国民の中で最も不正直で最も詐欺的だと決めつけているが、その彼が以上のように記述しているのは少々不思議である。というのも日本はまだ開国したばかりで近代産業は皆無に等しく、しかも井伊大老の暗殺があって世情は騒然としており、到底、落ち着いて近代化に着手するような雰囲気ではなかったと思われるからである。
さらに不思議といえば、彼より半世紀前に日本の捕虜となり、2ヶ年ほど監禁されていた帝政ロシアのワシーリー・ミハロウィッチ・ゴローウニンの記述も不思議である。彼が捕えられていた文化八年(1811年)の日本はまだ鎖国下にあり、当時の日本もその後の日本も長い間「恐露病」であった。だがゴローウニンの言葉を読むと、彼らの方が「恐日病」ではなかったかという気がする。
(日本が)、わがピョートル大帝の如き偉大なる君主の支配する所となりたりと仮定せんか、彼らの国土に産出する種々の材料宝物は巧みにその利用するところとなりて、短月日の間に容易に東洋の支配者となるに至らん。この時は至らば、本土よりはるかに距たるわが東アジアの沿海諸州の運命は果たしていかなるべき
何やら一世紀近い将来の日露戦争を予言したような文章だが、当時の日本といえば、米騒動や打ちこわしが頻発し、到底、大ロシア帝国の脅威になれるような国とは思えないのが常識であったろう。
ではオールコックやゴローウニンは一体、何を見てこのように断定し、その予言が正確に当たったのであろうか。ゴローウニンはそれを教育の普及にあるとし、日本人のように上級の知識階級と下層階級との差がなく、無学文盲がヨーロッパよりはるかに少ないことをあげている。確かにヨーロッパは、この時点では科学においてはるかに日本を凌駕している。しかし下層民を比べると、ヨーロッパは到底日本に及ばない。ここでもし知識階級がヨーロッパの科学技術を学んで自らのものにしたらどうなるであろうか。上下の差がほとんどないから、これがすぐ全国民のものとなるであろう。そうなれば「将来の日本政府は容易にヨーロッパ式の艦隊を組織し、すこぶる大胆勇敢な水兵をすぐに充当できるであろう」それが恐ろしい、と彼はしている。
日本人に非常に厳しい評価を下しているオールコックも「日本の文明にはまた道徳的および知的分子なきにあらず。しかもその量はアジアの他の国よりはるかに多し」としている。この「知的分子=知的好奇心の旺盛さ」は多くの人が指摘しているが、さらにオールコックは、法や社会的ルールを非常に重んじ、それが重荷となって自殺する者が多いこと。そして「国益的愛国心」が異常なほど高いことを指摘している。
戦後は愛国心などなくなったように見えるが、オールコックの記述を読むと、むしろ「幕末的愛国心」になったのではないかという気がする。オールコックは「ただしこの愛国心も利己的で、己以外の者のために殉する清き宗教的情熱とは」いいがたいが故に「偉大なりと言うことあたわず」と記している。そしてこの利己的愛国心と知的好奇心が結びつけば、将来、ヨーロッパの油断ならぬ競争者となるであろうと見ている。
オールコックもゴローウニンも、多くの人が未開と見た鎖国下の日本を鋭く観察したが、同時にこのことは、われわれが失ってはならぬ貴重な遺産を指摘したといえる。この遺産があれば政策の誤りから亡国の状態になっても再起できるが、これを失えば、繁栄の中にも真の民族的資質が失われ空洞化していくであろう。教育で留意すべきことは、この基本的な点だと思われる。

日本人がヨーロッパに追いつくことのできる民族であると見抜いていた人が、すでに幕末期にいたということが驚きである。しかも、それは先進国であった外国人からの見解であることが重要で、「日本」を見る時に上記のダンカン・ウィリアムスの「傍目八目」的視点が必要なのかもしれない。
で、ここでは、日本人が躍進する原動力として「国を愛する心」と「知的好奇心」を挙げ、必要なのは「科学」と「技術」だと指摘している。また山本七平もこれを「教育」に盛り込むべきだと思っていたのだ。

さてこれに続いて、平成21年12月9日  読売新聞 「論点」 立花隆の記事から。

事業仕分け  科学技術費削減 亡国の道
この数週間、行政刷新新会議の事業仕分けに翻弄された。私は科学技術者に知り合いが多いせいか、連日のごとく悲鳴が届いた。
事業仕分けでカットされた。事業費が削られた。人件費、研究費が切られた。若い研究者の首を切らねばならない。悲痛な声が届いた。
それは次世代スーパーコンピュター(スパコン)に始まり、大型放射施設スプリングエイト、素粒子加速器、素粒子ニュートリノの観測施設「スーパーカミオカンデ」、ロケット、深海掘削船「ちきゅう」などなど、日本が世界に誇る先端研究大型プロジェクトに次々に及んだ。ついには、日本が世界に誇る光学赤外線望遠鏡「すばる」の観測すらとめられようとしていると聞いて、先日、東京大学で抗議の記者会見まで開いた。
「すばる」は世界の最遠銀河観測記録ベスト12位を完全独占するというぶっちぎりの性能を持つ。いま最大の話題である地球暗黒エネルギーの謎解明に一番近い観測装置として、世界中の天文学者の注目を浴びている。その観測中断は、世界中の科学者のブーイングを浴びるだろう。
なによりあきれたのは、蓮舫議員の「なぜ世界一を目指すんですか。2位でもいいじゃないですか」の一言、「限りなく見送りに近い縮減」の判定を受けてしまった次世代スパコンである。記録を取り寄せて判定会議での議論の全文を読んで驚いた。
仕分け人たちは、プロジェクトの中身の予備知識がほとんどゼロ。世界の大状況認識もほとんどゼロ。正直これほど無知な人たちが、これほど低水準の議論でこんな重大事を決めていいのかと思った。総合科学技術会議の論議が足りなかったのではという意見があったのに対して、すぐに同会議から数十ページに及ぶ議論の詳細が発表され(もともと公開)、次世代スパコンはあらゆるプロジェクトの中で「確実に推進すべき課題」と認定したのはもっともなことだ。
ハードとソフトを一体化開発すべしとの意見も出たが、それこそこのプロジェクトが当初からやってきたことだ。いまスパコンに合わせて開発中の次世代ナノ統合シュミレーション(模擬実験)ソフトが完成すると、科学技術の世界は一変する。物質科学においてもライフサイエンスにおいても、コンピューターシュミレーションが、理論と実物実験に並ぶ「第三の道具」として広く使われるようになり、最小限の実験から最大限の応用が引き出されるようになる。
いま自動車開発でたった一台の衝突実験をすれば、シュミレーションによって数万台の衝突実験をしたのと同じ成果が引き出されるのと同じことが、物質科学でも生命科学でも起きる。
計算速度が毎秒1京回の10ペタコンの世界では、すべての物質の1000万原子系ナノ秒シュミレーションができるから、半導体のチップであろうと、たんぱく質であろうと、燃料電池の反応であろうと、たった1回の実物実験で得たデータで百万回の実験をするのと同じ効果が引き出せる。科学技術の世界に革命が起きるのだ。10ペタコンを制するものが21世紀を制する。まことにこれは国家基幹技術なのである。
無資源国日本の生きる道は、科学技術創造立国しかないのだ。これでは21世紀の日本が滅びる。

この通りである。上記のオールコックの言葉「もし彼らに応用科学の知識において欠けるところがなく、機械工業が進歩するならば、彼らはヨーロッパ諸国民と優に競争しうるであろう。」まさにこれが当てはまる。もうこんなことは150年も前から指摘されていることなのだ。「科学技術」これこそが日本の生命線だというのがよく分かる。

12月10日現在の記事によれば、「政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)が、平成22年度予算の概算要求の無駄を洗い出す事業仕分けで「事実上の凍結」と判定された次世代スーパーコンピューター(事業費267億円)の判定結果について、見直しのための公開討論会を開催する方針であることが9日、分かった。予算を要求している文部科学省の責任者やコンピューターに詳しい専門家を交えての再仕分け作業となる。」(産経新聞)とあり、スパコンの予算の再検討があるという。しかしこれでは、周りが騒がしく言うので仕方なくやっているようにしか見えない。それであれば、事業仕分けで削減・見送り・廃止された他の科学技術事業「GXロケット」、「大型反射光施設・スプリング8」「グーロバルCOE」「世界トップレベル研究拠点」「宇宙ステーション補給機HTV」などは一体どうなるのか? 「スパコン」だけが日本の科学技術ではないだろう。
そもそも、「事業仕分け」が良いとか悪いとかいった話以前のことで、こういうところから経費を削減しょうとする国(民主党なのか財務省なのか)の方針が日本を危うくさせているということこそが問題で、そこを追及すべきなのだ。
こんな政策がまかり通るならば、立花隆の言うとおり「亡国の道」を進んでいると言っても過言ではない。

スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

«  | HOME |  »

カスタム検索




FC2ブログランキング


すみません…、只今コメ返しをしておりません。しかし、しっかりと読んでおります。こんなわがままなサイトですが、気が向いた方は、どうぞ書き込んでください。

FC2ブックマークに追加

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

Wikipedia
developed by 遊ぶブログ
物語を物語る
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月 --日 (--)
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
物語を物語る
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2009年12月 10日 (木)
  ├ カテゴリー
  |  └ 日本文化
  └ 「日本」「文化」「科学技術」、そして「亡国への道」
by AlphaWolfy

消えた二十二巻

Author:消えた二十二巻


全ての記事を表示する




このブログをリンクに追加する
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。