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「園遊会」と「福沢諭吉」

物語を物語る

平成22年4月15日、読売新聞から
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100415-OYT1T00980.htm?from=y10

天皇陛下から「おめでとう」真央、緊張のち笑顔
天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が15日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれ、バンクーバー五輪の銀メダリスト・浅田真央選手ら約1900人が出席した。
 この日は小雨交じりで気温も真冬並みだったが、両陛下は会場を回りながら何度も足を止め、招待者との会話を楽しまれた。
 緊張したという浅田選手は、天皇陛下から「この度は本当におめでとう」と五輪での活躍をねぎらわれ、やや硬い表情で「ありがとうございます」とあいさつ。五輪後の世界選手権で優勝したことに話を向けられて笑顔を見せた。
 大けがを乗り越えて男子フィギュア初の五輪メダリストになった高橋大輔選手は、陛下から「男子のフィギュアもずいぶん盛んになってくるんじゃないですか」と話しかけられ、「そうなると本当にうれしく思います」と答えた。
 元横綱・大鵬の納谷幸喜さん(69)は、陛下から「お体どうですか」と言葉をかけられた。「相撲界に入って54年になるが、一生懸命やってきて今日の日を迎えられて光栄だ」と感激した様子だった。

高橋大輔選手はこの日のために伸ばしていたヒゲを剃ったという。彼の「国歌・国旗」に対する姿勢も真摯で、見ていて清々しい。こういう態度が自然に出てくるところがいい。
園遊会 高橋大輔選手

さて、こういう報道があると、必ず「反日思想の輩」がどこからともなく湧き出て、「税金の無駄だ」とか「意味がない」とかネットで騒ぎだす。
懲りない人々だ。

園遊会の注目は、どうしてもオリンピックのメダリストや有名人に集中してしまうが、産業・文化・芸術・社会事業などの分野で功労のあった功績者が数千人単位で招ねかれる、というところに本来の意味がある。
では園遊会の意味はどこにあるのだろうか。
なぜ陛下が、功労者たちにねぎらいの言葉をおかけになるのか。
それは、福沢諭吉の「帝室論」や「尊皇論」、「学問之独立」などを読むとよく分かる。
ということでいつもの、福沢諭吉「日本皇室論」現代語訳(島津書房)池田一貴 訳 平沼赳夫監修 財団法人 無窮會
からほんの一部を引用。

ここで私が特に注目するのは、日本固有の技芸である。今日それを保存したいと寛げれば難しいことではなく、逆に放置閑却すれば、根絶する恐れのあるもの、これである。
日本の技芸には、書画があり、彫刻があり、剣槍術、馬術、柔道、相撲、水泳、諸礼式、音楽、能楽、囲碁将棋、挿花、茶の湯、薫香など、その他大工左官術、盆栽植木屋術、料理割烹の術、蒔絵塗物の術、織物染物の術、陶器銅器の術、刀剣鍛冶の術など、私はこれらすべて逐一記することはできないけれども、その項目はおびただしい数にのぼることだろう。
これら諸芸術は日本固有の文明であり、今日その勢いは、すでに激震に襲われて次第に衰えようとしているため、それが消滅しないように救出することは、実に焦眉の急であると言わねばならない。
なぜなら芸術は、数学・工学・化学などと違って数値と時間で計量できるものではなく、規則・法則の解説書で伝えてゆくことができないからである。ことに日本古来の風習として伝承されてきたものの中には、規則にのっとったものであっても、人から人へ、家系から家系へと秘法が伝えられてきたものが多く、その秘伝は個人の内部に保持されているため、その人が亡くなればその芸術も滅んでしまうのは当然の運命である。今日そういう人は細々と生き残っているが、その人もまさに余生残り少なくなっているのである。
今、こうした火急の事態を救出するには、どのような方策をとるべきだろうか。こうしたものを今日の文部省に託すことはできない。実際、託そうにも、省の資格では実行しがたいことが多いだろう。ましてや国会開設後の政府では無理というものだ。国会の政府となれば、ただ冷やかな法律と規則に依存し、道理の中に局促して(束縛して)、かろうじて国民の外形を管理するだけのことだから、そうした政府の高官が、眼前の法的な人間社会問題に不要な芸術を、管理支配して、特にこれを保護奨励するというようなことは、まったく想像もできないことである。このような場合に唯一、頼みとして望みをつなげるのは、ただ帝室あるのみである。
帝室は政治社会の外に立って、高尚な学問の中心となり、同時にまた、諸芸術を保存して衰頽から救いたまうことがおできになるのである。


「尊皇論」からも一部を引用。

広く日本社会の現状、すなわち民心の活動を見渡せば、今日は文明が日進月歩する世の中である。だから、学問教育の道が興らなくてはならない、商工業の法も進まなければならない。人民の徳心も涵養(かんよう)しなければならない。宗教の布教も勧めなければならない。さらに細事にわたれば、日本固有の技術は一芸一能といえども保存奨励しなければならない。これらの事項はすべて日本国の盛衰と興廃に関わるものだから、帝室の余光でその進歩を助ければ、その功徳の広がりは無辺に及ぶだろう。
例えば、学問教育の分野について天下の学者を優待し、商工業を活発にするには徳に功労者を表彰し、孝子・節婦を褒め、名僧・知識(高僧)を優遇し、琴・将棋・書画から各種技芸に至るまで保護するようなことは、いずれ皆、帝室から直接お達しなされれば、天下の面目を改め、文明の進歩を促すことになる。そればかりではない。されに民心は靡然として帝室の恩徳の深さに感動し、おのずから帝室の尊厳・神聖の基を固めることができるだろう。


要点は、文化保護・育成は、帝室・皇室の下で行われるべきであるだ、と諭吉は説いている。
なぜか。
それは、諭吉は「帝室(皇室)は政治の外にあるべきだ」という考えで、政治の醜い権力闘争の中で「皇室」が汚されないように一段高みに置く、独立孤高の存在であるからだ。

そもそも政党というのは、おのおの主義主張を異にするもので、自由改進と言ったり、保守守旧と称したりして、互いに議論しているのだが、結局は政権を争って、自分が権力を握ろうとするものでしかない。
こうした政党間の囂々たる争論のさいに、帝室がもし左を助けたたり、または右を庇護したりなどのことがあれば、争いに熱中している政党の人々は、一方がわが意を得たりと喜べば他方は不平をつのらせる結果となり、その不平の極みとして帝室に怨みを抱く者も出てくるだろう。(「帝室論」から)

皇室が不党不偏で独立しているからこそ、学術や技芸の奨励、文化・芸術の保護ができる、というものなのだ。
だから「民主党の天皇陛下の政治利用」がいけないというのは、こういった点にあるのだ。

また、「学問之独立」では、
「医学・理学・文学などの研究者らには年金を与え、その生涯安身の地位を与え、学問に専念させよ」と説き、「(学者らの研究は)本人一個の利益に非ず、日本国の学問に富を加えて国の栄誉に光を増すものと云うべし」と云う。
諭吉は私学校も皇室の下に置き、そこで発展させるようにとその論理を展開したが、これは皇室が政治闘争の外にあるからこそ、「学問・学校の独立」が保たれるという考えだった。

ただ、これらの諭吉の論は実現はされていない。
しかし現在、皇室で行われている各界の功績者を招く「園遊会」や文化・芸術などに貢献した者に与える「叙勲制度」など「顕彰」という形で生かされているのだ。
だからこそ、「園遊会」で文化貢献者(スポーツももちろん「文化」です)が招かれ、陛下から顕彰されることは、非常に意味のあることだと言える。

もし、福沢諭吉が現代に生きていたら、「国の栄誉を守り、国益を生むスポーツ選手も、十分に保護(お金)し・育成(施設を作る)せねばならない」と主張したに違いないだろう。
(それが民主党政権では逆に事業仕分けで費用カットとは……。)


追記 福沢諭吉は「近代最大の保守主義者」であり、「文化概念としての天皇」という意味では、三島由紀夫も新井白石も西田幾多郎も同じ様なことを言っている。
これはいつか書きたい。



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