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アニメは日本文化を救えるか 第8回 大切なことは何か

物語を物語る

読売新聞の特集記事「人物語 異国の風」は以前「日本文化を継承するものが日本人だ、と思う。」のときに触れましたが、そこに日本のアニメに関連した外国人のことが載っていたので書き起こしてみました。

読売新聞 平成23年2月20日 人物語 異国の風
「プリキュア」子供に感動を 元革命闘志「夢のアニメ」
東京・新宿の映画館は、子どもたちの熱気が渦巻いていた。人気アニメシリーズ「プリキュア」劇場版9作目の昨秋の試写会。プロデューサーのギャルマト・ボグダンさん(42)は、スクリーンを見つめる子どもたちの表情を迫った。笑ったり、驚いたり――。胸がギュッと締め付けられた。ルーマニアで過ごした幼い日々、自分が所属する「東映アニメーション」のアニメを夢中で見たことを思い出した。
首都ブカレストに生まれ育った。当時は社会主義国だったが、日本のアニメなど西側の文化が流入した時期があった。熱中したのは、タマゴの殻をかぶった黒いヒヨコが主人公の「カリメロ」。長編アニメ映画「シンドバットの冒険」にも胸を弾ませた物語性の高さが深く心に残った。
1989年12月24日、愛犬バルザックが消えた。一晩中探し回ったが、翌朝、玄関前で冷たくなっていた。「脅しだ」。そう思った。
チャウシェスク大統領が独裁を強めるルーマニアは、民主化運動も激しさを増していた。ボグダンさんも16歳から運動に身を投じ、逮捕されたこともある。革命が始まった同月21日からは、当局側との銃撃戦の中にいた。「命を失うかもしれない。でも自由のためには行動しかない」。25日に大統領が処刑され、革命は実現。だが、その後も当局が迫っていると伝えられ、90年、ハンガリーへ。
ブタペストの大学に通い静かに暮らすうち、日本の文化やアニメに興味があったことを思い出した。日本の留学生制度を利用し、92年春に来日。千葉大で大学院まで7年間、日本文化や工芸を学んだ。
「今度、遊びに来いよ」。2006年に友人を介して食事をした際、そう言ってくれた男性は東映アニメーションの人だった。カリメロを作った会社だ。現在は同社の企画開発スーパーバイザーを務める清水真治さん(58)。すぐ同社を訪れた。
「遊び」ではなく、いきなり履歴書を出して驚かれたが、まずアルバイトとして採用された。少子化で国内市場の先行きは楽観できず、「日本人にないパワーや国際的な感覚が欲しかった」(清水さん)という。
ボグダンさんは電話番をしながら何度も企画書を提出。まもなく採用された企画は、07年秋からのテレビアニメになった。08年、社員に登用された。

プリキュアの劇場版はプロデューサーとして3作目。アニメの作品ながら、物語の舞台となるパリの街に迫真性を持たせるため、スタッフを連れて現地に赴いた。街角の建物を写真やビデオで記録するため、故郷で見についたフランス語を駆使し、現場責任者として様々な交渉に臨んだ。清水さんは「突進力と人なつこさは大きな武器」と話す。
昨年、ルーマニアへ帰省した時、弟のオデビューさん(39)が犬を贈ってくれた。「革命から20年。もう乗り越えないと」。革命の時に殺されたバルザックと同じ黒いコッカースパニエル。ポッキーと名付けた。バルザック以来の愛犬となった。
ポッキーを傍らに、故国を思う夜がある。今、ルーマニアで放映される日本アニメは多い。かつての自分のように、少年少女が胸を弾ませてくれるかな――。
「故郷も忘れらないけれど、日本の人たちは僕を温かく受け入れてくれた。この地でずっと暮らし、子どもたちに感動を伝え続けたい」

「プリキュア」 読売新聞
ギャルマト・ボグダン氏と私はまさに同年代、「カリメロ」は私もよく見てました。
何の接点もないルーマニア人と日本人の私(ともに「おっさん」)、この二人の共通点が、懐かしい日本アニメ「カリメロ」だというのが、考えてみると面白い。
まあ、これも「文化」でつながるっているということになるんだなぁと、しみじみ思う。
それに、うちの娘は小学校低学年なので、まさに「プリキュア世代」。劇場版9作目「ハートキャッチプリキュア!花の都でファッションショー…ですか!?」はフランスでも公開されるというから、将来、プリキュアを見たフランス人の少女と私の娘がどこかで出会えば、共通の思い出として「プリキュア」の話をするかもしれない。
大事なのはこういうことなんじゃないかと、思う。

ここで、前回の記事 アニメは日本文化を救えるか 第7回 これからの「クールジャパン」は、消費される文化を目指すのではなく、日本文化を広め、深める道を進むべきではないのか。とからめてみましょう。

では「プリキュア」はディズニー・ピクサーCGアニメ映画のように大ヒットするだろうか。しないだろう。ヨーロッパ全土を席巻する話題作となるだろうか。決してそんなことにはならない。
それに、昔の日本アニメ「カリメロ」や「シンドバットの冒険」はどうだろうか。大きな収益を得られただろうか。そんな話は聞いたこともないし、まして経済効果という点でいえば、大した儲けにもなっていないだろう。
しかし、どうだろう。経済からみれば大して影響を与えなかったかもしれないが、文化という点から見ればどうなるだろうか。
日本のアニメに強烈な影響を受けた人々がいたという事実があって、これからもそんな体験をする子どもが出てくることになるということだ。これこそが重要であり、まさに本当の意味での「クールジャパン」とはこういうことを言うのではないだろうか。

またこんな記事を読んだ。http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFCN0030350/index.html

実写版「ドラゴンボール」のオファーは断るも「マジンガーZ」へ熱いラブコール!巨匠アレハンドロ・アメナーバル監督新作を語る!
映画『アザーズ』『海を飛ぶ夢』など、多彩なジャンルの力作を送り出してきたアレハンドロ・アメナーバル監督が、新作映画『アレクサンドリア』について熱く語った。『アレクサンドリア』は、4世紀のエジプトを舞台に、女性天文学者のヒュパティアと弟子たちの激動の運命を、壮大なスケールで描いた一作だ。
<中略>
ところでアメナーバル監督といえば、『アレクサンドリア』を撮る前にハリウッドで『ドラゴンボール』を監督するうわさがあったが、その真偽について監督から「確かに『ドラゴンボール』をやりませんかという話はあったけれど、そんなに好きな作品ではなかったんだ。やるとしたら『マジンガーZ』がいいなぁ……。『マジンガーZ』を監督できたら、夢のようなんだけど!」という意外なコメントが飛び出した。アメナーバル監督が『マジンガーZ』!? そんなプロジェクトが実現したら、ぜひ観たいと思う人も多いはず! 日本のプロデューサーは、オファーしてみたらどうだろうか? 2011年2月28日

(「マジンガーZ」とはまた懐かしい。)
「マジンガーZ」にしても海外で大ヒットというわけではないだろう。まして大きな経済効果を上げているわけではない。しかし、日本のアニメに影響を受けた人が世界各地に多くいるということなのだ。
何か言いたいかといえば、目先の「経済効果」ばかりを追って、アニメ・マンガの「文化」としての価値や役割を見失ってはいませんかということ。日本のアニメやマンガが思惑以上に売れていなからといって「クールジャパン」は存在しないといった論理は少し違うんじゃないかということだ。

堀淵清治著「萌えるアメリカ 米国人はいかにMANGAを読むようになったか」(日経BP)から一例。

89年に『うる星やつら』をアメリカで出版したとき、業界では高橋留美子の作品を「Too cultural(日本的過ぎる)」と評する声もあった。彼女の作品には、日本のお祭りやお正月の様子など民族学的な要素が多く盛り込まれているため、ごく一部のファンにしか受け入れられないというのである。
「高橋留美子はアメリカでは売れない」。何度もそんな言葉を耳にした。
実際にフタを開けてみると、彼らの言う通り『うる星やつら』は期待したほどヒットしなかった。絶対に失敗できない大切なタイトルだっただけに、僕らは大きく肩を落とした。
<中略>
しかし、諦めることなく彼女の作品をアメリカファンに届けていくことを決めた。「高橋留美子はアメリカでは売れない」。その言葉を撤回させたかったからだ。
<中略>
そして、ついにリベンジの時がやってきた。92年の6月から、ダイレクトマーケット向けの月刊コミックス「らんま1/2」の出版が始まると、ファンの間ですこしずつ話題になり、翌年リリースしたビデオが、全米のアニメランキングで初登場トップに躍り出たのだ。「ANI-MERICA」での大々的なプロモーションも功を奏し、狙い通りの結果となった。当時の我々にとって、このアニメの成功はまさに救いの雨以外の何ものでもなかった。アニメの売れ行きに乗じて、マンガ「らんま1/2」もまた部数を伸ばして行ったのである。

そして、これが後にアメリカで「犬夜叉」が大ヒットにつながったと、本書では詳しく綴っている。

つまり、必要なのは「種をまくこと」。ヒットという花を咲かすには、種をまいてから水をやって育てていかなければならない。そのためには時間も手間も必要なのだ。何度も繰り返すが、目先の「売り」にとらわれ過ぎるな、ということだろう。だから前回取り上げた論者の意見には大反対だ。
昔の日本のアニメ「カリメロ」や「マジンガーZ」などに影響を受けた世界の子どもたちが、いま大人になって「アニメ=日本文化」の擁護者となっていくのだ。
大切なのはこういうところだ。
前出の堀淵清治著「萌えるアメリカ」から引いてみる。

「OTAKU」現象の最も面白いところは、「japanophile(ジャパノフィル)=日本偏愛」という造語が現れるほど、マンガやアニメを入り口にして日本の文化や歴史、そして言語や政治、時事現象に至るまで並々ならぬ興味を持ってのめり込む「超親日」を生み出しているという点である。極端な例では、白人のアメリカ人であるにも関わらず、とにかく日本に住みたい、日本人になりたい、というような「同一化願望」を抱く日本オタク(とくに白人)を揶揄する「wapaneseka(ホワパニーズ)」などというスラングまで造られ、インターネット上で密かに使われてもいる。
もちろん、こうした嗜好を持っている人々はアメリカではごく少数である。しかし、媒体は何であれ、外国人が日本人の文化や精神性に近寄ってその独特の「世界観」に浸るという現象は、日本のオタクがマンガやアニメ、ゲームなどの「異世界」にハマる現象と、マインドトリップ体験という意味では、さほど変わりはないかもしれない。

マンガやアニメを入り口にして「超親日」を海外で作っていく。つまり、揺るがないガッチリとした日本ファンという名の固定客を増やしていくことがいま必要で、まさにその段階なのだ。それを売れることだけを目的の市場原理に合わせていけば、結果ツマラナイものしか生み出さなくなる。それでは本末転倒となっていくことになる。(この辺りは、このシリーズの過去記事で)

この前、ラジオ・ニッポン放送の茂木健一郎の番組に夏目房之助がゲストで来ていて、マンガの話をしていた。その中で日本マンガの国際化についての話があった。ここで夏目氏は、日本のマンガの海外での経済効果は微々たるものだが、日本文化ファンを増やすことが大事で、引いてはこれが「日本の安全保障となる」といった話をしていた。
正にその通り。要は、その国の文化力(ソフトパワー)がその国の防衛力となるということで、当ブログがいつも説くところの「マンガ・アニメ文化防衛論」そのものだった。
(高い文化力は、中国や朝鮮に対抗する防衛力になると考えていたのは「新井白石」だった。過去記事)

話は少し飛ぶ。
最近アニメ「銀魂」にハマっている。これがすこぶる面白い。
9割ギャグなのだが、ときおり見せる「サムライ魂」にしびれている。
検索して関連した動画(MADやPV)を見ていたら、その中にちょっと面白い動画があった。
なんのことはない素人の投稿動画だが、ここで銀魂に登場するペット的存在のキャラ「定春」のキャプをかぶった少女が、ただ「定春かわいい」と何度も言うだけのものだ。

ここで興味を引くのは、この娘が中国人であり、しかも日本語(日本語イントネーション)で「かわいい」を連発して言っていることだ。
それ自体、別に何のことはないことかもしれない、ただ、私はこういう現象にとても興味が引かれるのだ。
いかにも日本的な文化(下ネタを含めて)が溢れるこのアニメのファンなのだろう。(アニメショップの店員?)
考えてみると不思議なのだ。
この若い中国人娘の名前も知らず、何者かもしれない。国も言葉も文化も違えば、世代も違う。
だが私が見ているものと同じものを、世界各地で見ている人がいるという事実。
それが日本のアニメだということで、妙な感慨さえ得てしまう。(しかも日本的文化の要素が強いものを)

全く知らないルーマニア人が見た「カリメロ」を俺も見ていた。巨匠と言われるような映画監督が見ていた「マジンガーZ」を私も子供のころ見ていた。
娘が見ている「プリキュア」も、フランス人の子どもが見ている。
日本のアニメ・マンガで世界とつながっている。ここが実に面白い。
何度も言う。大切なのはこういうことなのだ。

将来、日本を救うのは「マンガ・アニメ」だったりするかもしれない。
(これ、後でつなげます)
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