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物語を物語る

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「仮名手本忠臣蔵」は新田義貞の鎮魂劇である。

物語を物語る

さて、前回の続きで、新田義貞の兜がめぐる話です。今回は義貞の兜と「仮名手本忠臣蔵」の関係について書きます。
タイトルの「仮名手本忠臣蔵新田義貞の鎮魂劇である」は、もう何度か書いた説ですが、兜ついでにさわりだけでも書いておきます。
歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の始まりである「大序」は、プロローグとして、状況説明として重要な場面。
新田義貞が討ち死にしたために、足利方はそれを供養しようとするが、どれが義貞の遺体であるか見分けがつかない。遺体は50体近くある。(ここも四十七士とかかっている) そこで登場するのが、兜なんです。この兜に蘭奢待が焚きこめてあり、これが決め手となって義貞の遺体が発見される、というやり取りで話が始まる。
そう、物語は、義貞の死と供養から始まることになるんです。
江戸時代の劇は、当時の人物名や場所をそのまま使うことはできなかった。しかも赤穂浪士の事件は世間を騒がせた大事件であるので、尚更でしょう。そこで舞台や人物を置き換えることになる。そこで、赤穂浪士の人物を南北朝時代の人物に当てはめ、舞台も鎌倉に設定された。
ではなぜ作者は、新田義貞の首を捜す場面からこの物語をスタートさせているのだろうか。ここは作者にとっては全くの創作となるわけである。まあここは、小説の方で書いたので、興味のある方はそちらへ。
というわけで、ここではまず「由良」に注目してみた。大石内蔵助にあたるのが、大星由良助である。(大星には別の意味が隠されている)
「由良」というのは、新田一族の氏族のひとつである。横瀬氏が下克上で新田荘を支配したときに名乗ったのも「由良氏」であった。新田一族である正統性を主張するために名乗った由良氏という名は、それほど新田一族を示すには分り易いものである。また、新田荘の由良には、新田宗家の館があって、義貞もここで生まれたのではないかという有力な説がある。それに新田次郎の小説「新田義貞」では、最初の1ページ目から、由良の館が登場して、由良の名は何度も登場する。
いろいろ書き連ねたが、要は、「由良」は新田一族を意味しているということになる。つまり大星由良助=新田一族となる。
それに、これを裏付けするような証拠があります。
それは、大石内蔵助は足利氏族である吉良上野介に仇討ちをするが、劇では、大星由良助が高師直に仇討ちを仕掛けます。そこで、劇ではどうなっているかといえば、舞台が鎌倉となっていますから、稲村ガ崎から上陸して鎌倉に侵入することになっているんですよ。
つまり、新田義貞鎌倉攻めを行ったときと同じ経緯が繰り返されているんですよ。
劇は、新田義貞の死から始って、新田一族を暗示する由良助が、新田義貞の鎌倉攻めを行った経路を辿って、足利一族である高師直(足利尊氏、直義でもないところがミソ)に仇討ちする。
これこそ新田一族の鎮魂劇であるといえるのではないでしょうか。
そう、仮名手本忠臣蔵が上演される度に、新田一族の鎮魂も行われているということなるんです。
ではもう一つ、なぜ劇の始まりは「義貞の兜」の逸話から始まるのでしょうか。
それが、前回の話につながる訳です。
「兜の発見」これこそがすべての始まりです。
義貞の兜が見つかり、福井藩主が顕彰したのが、1660年。
「碁盤太平記」や「兼好法師物見車」など仮名手本忠臣蔵の元となったものを書いた近松門左衛門が、越前の武士の子として生まれたのが1653年。義貞戦死碑を建てたとき、近松は7歳である。
近松門左衛門はこのことを憶えていたのではないでしょうか。
だって、徳川家と同じ先祖となる新田一族の英雄、義貞。その人物が戦死したときにかぶっていた兜が農民のイモ桶として使われていたなんて話、強烈です。
後に作家になるような人物ですから、面白いエピソードは忘れないはず。しかも父は福井藩に仕えていた武士です。(鯖江藩にいたという説も) 地元は藩主を挙げての大騒ぎだったというから、記憶にあったでしょう。
おっ、ちょっと待った、「仮名手本忠臣蔵」の作者は、近松門左衛門ではない、といった声が。
そう作者は竹田出雲・三好松洛・並木宗輔の3人。
だがこの3人すべて近松門左衛門の子弟や関係者なんですよ。だから、義貞の兜の話を近松から聞いていて、これはいい逸話だと、思っていた。それを忠臣蔵の物語の中に組み込んだのではないか、と私は考えているんです。
だってあまりにも義貞の兜の発見の状況と、劇の始まりの設定が似ているからです。
さて、この仮名手本忠臣蔵の謎は歴史ミステリー小説「東毛奇談」第5章で、ちょー詳しく書きましたので、興味のある方はそちらまで。
さて義貞の話はまだまだ続きます。


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