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「継承の物語」その2 クリント・イーストウッド  資料編13回目

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資料編13回目 「継承の物語」その2 クリント・イーストウッド

継承の物語 その1 ゴッドファーザー」からの続き。
今回は「クリント・イーストウッド」です。
彼の関わる作品の多くに「継承の物語」があります。
中条省平著『クリント・イーストウッド アメリカ映画史を再生する男 』(朝日新聞社)からそんな箇所をランダムに引いていみましょう。
クリント・イーストウッド 中条 省平
文中で何度も登場する「イニシエーション」という言葉ですが、通常「通過儀礼、入会」などといった意味で使われますが、ここでは「手ほどき,手引き 秘伝を伝えること,伝授」という意味で使われています。
要は、「継承」ということです。

「パーフェクト・ワールド」でも、子供を愛する心やさしい犯罪者と無垢な少年の逃避行というドラマを借りながら、そのヒューマニズムの底には、狂気にも似た「私怨」、報復への欲望が濁っている。「パーフェクト・ワールド」は、年上の男が少年を人生のイニシエーションに導くという構図において、かつてイーストウッドが撮ったロード・ムービィー「センチメンタル・アドベンチャー」によく似ている……。
(中略)
こうした、いわばアメリカ映画の過去と現在と未来の縮図のまっただ中に身を置いて、イーストウッド自身が、多くのベテランたちから、プロの「カツドウ屋」としての教育とイニシエーションを受ける日々だったのだ。
この秘儀伝授の期間は、1959年から66年まで、丸7年間も続いた。その間、イーストウッドは国外でセルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」に主演して国際的なスターとなり、ついに「ローハイド」でも主役のエリック・フレミングを追い落として、単独で主人公の座に着き、牛追いの隊長となる。ついに、若造がベテランをしのぎ、息子が父に勝ち、王位は簒奪されたのだ。だが、イーストウッドの単独主演による「ローハイド」は20話あまりしか続かない。教育とイニシエーションという固有の主題が完遂されたいま、もはや「ローハイド」には存続の理由はなかった。
イーストウッドは、みずから教育とイニシエーションを重大な主題とする映画作家に成長していく。

イーストウッドが最初に手がけた最初の教育とイニシエーションの映画は、「サンダーボルト」だった。総監修にイーストウッドがあたり、監督はマイケル・チミノ(当時31歳、初監督)。(中年の元強盗が、昔の仲間や若造と組んで銀行強盗を繰り返す。「サンダーボルト」(74))
イーストウッドによるマイケル・チミノというシネアストの教育とイニシエーションの映画でもある。その成果が目覚ましかったのは、イーストウッドに導かれたチノが次作の「ディアハンター」で師匠より14年も早くアカデミー作品賞と監督賞を制覇してしまったことを見れば一目瞭然である。

「アウトロー」は、ジェイミー少年のエピソードには、イーストウッドによるサム・ボトムズの役者としての教育とイニシエーションの現実と、戦士として生きることを学びはじめたジェイミーの物語が二重写しになって投影されているのだ。

クリント・イーストウッド 2
「センチメンタル・アドベンチャー」イーストウッドが教育とイニシエーションを映画全編の主題にすえて、彼のもっとも個人的な感情にあふれるロード・ムーヴィ。

教育という主題がさらに厳密な方法と過程の問題として追求されるのは、「ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場」においてである。なにしろこれは、古参の軍人がまったくやる気のない新兵を一人前の戦士に鍛えあげて戦場に送り込むという、完結したひとつの教育の過程をまるごと映画にしたものだからだ。
(中略)
軍人のトムは、むろん戦争を否定していない。だが戦争で死ぬことを否定しようとつとめている。いずれにしても、戦争の起こることを否定できないのならば、戦争で生き延びるために、全力をつくすのが兵隊の義務と希望であり、新兵たちがその義務と希望をできるだけ効率的に実現するのを助けることが、自分の義務であり希望だと考えているのだ。
その意味で、「ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場」は、やはり老ベテラン軍曹が新兵たちに「生き延びる」ことの技術と倫理を実践的に教育するサミュエル・フラー監督の「最前線物語」に極めて近い姿勢をもっている。

「ルーキー」は教育とイニシエーションが主題で、ベテラン刑事(イーストウッド)が若い刑事(チャーリー・シーン)を、事件捜査のなかで一人前に教育してゆく物語である。

こう見ていくとイーストウッドの映画には「継承の物語」が多い。そしてそこで継承されていくものは「魂」である。
これが最もよくあらわれているのが「グラン・トリノ」だ。
「グラン・トリノ」

町山智浩による『グラン・トリノ』解説から(http://d.hatena.ne.jp/Auggie/20100101/1263613730から)

 コワルスキーはグラン・トリノをモン族の少年に遺す。あんなにアジア人が嫌いだった男が。エンド・クレジットで流れる主題歌にもあるとおり、グラン・トリノとはコワルスキー自身のことだし、それを他人に授けるということは、アメリカン・スピリットの継承を意味している。
アメリカの魂を継ぐのは白人とは限らないということだ。思い返せばイーストウッドはこういう話ばっかり作っている。『ハートブレイク・リッジ』なんかも、黒人やメキシコ人にアメリカ兵の魂を叩き込む軍曹の話だったし。


ニコニコ動画に町山智浩に映画の解説があったので貼り付けておきます。

魂(スピリット)の継承がこの映画のテーマだというのが分かる。「グラン・トリノ」はそういった視点から見てもよくできた映画だというのがよく分かる。

「継承の物語」はまだまだ続きます。

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