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物語を物語る

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資料編15回目 「継承の物語」その4 「けいおん」は「継承の物語」である。

物語を物語る

資料編14回目 「継承の物語」その4 「けいおん」は「継承の物語」である。
過去記事 
「継承の物語」その1 「ゴッドファーザー」 
「継承の物語」その2 クリント・イーストウッド
「継承の物語」その3 スターウォーズと黒澤明

「ゴッドファーザー」、「クリント・イーストウッドの映画」、「スター・ウォーズと黒澤明の映画」と続けてきて、今回がアニメ「けいおん」。
何の関連性もなさそうだが、これらはすべて「継承の物語」である。
「けいおん」を萌えアニメなんてバカにしてはいけない(宮台真司ごときとか)、実は過去の名作群に引けを取らない「継承の物語」であるからだ。

さて、すべてを解説するのは面倒なので、これが最もよく表現されている、テレビで放映された最終話(第26話)「訪問!」を取り上げてみました。
最終回「卒業式!」のあとに番外編という形で2話続いて、最後に放送されたものがこの話だった。これが面白いことに最終回の高校卒業よりも少し時間的に戻った話となっている。この物語の全体の流れからいけば「卒業」をもってお話が終るのがいいラストとなるでしょう。しかしこのテレビ最終話は、これまで時系列順に進んでいたものをわざわざ崩して高校卒業前の話にしてある。時計の針を少しだけ戻したのはなぜだろうか。
まさしく、そこに制作者の伝えたかったものがあったからに他ならない。
だからこそ、この話をわざわざ物語の(テレビ放映の)最終話に持ってきたのだ。(後日談や前日談や付け足しのエピソードでもない、まさに最終話にふさわしいものとなっている)
そしてここで展開される話こそが、まさに「継承の物語」なのだ。
これは、さわ子→唯たち→梓へと「大切なものは何か」が継承されていった、その何かは過去記事を読んでもらうことにして、ここでは「けいおん」テレビ最終話がどのような「継承の表現」だったのかを簡単に説明していきましょう。
と、いいつつもストーリーの説明は省略。(見たということを前提に話を進めます。そして、過去記事「「今日も部室でお茶を飲む。 「けいおん」は奥が深い!」 を読んだということも踏まえます)

この回は写真に始まり、写真に終わる。
話の冒頭の時間軸は、後輩の梓が入部したころの2年前。
けいおん 継承の物語1そしてこんな家族写真のようなものを撮る。
写真は何を意味するのか。なぜここから話が始まるのか。そういうことを考えると面白い。
ここでは、「継承の物語」の解説なので、後輩の梓が入部したころに戻っているということは、つまり「継承」の始まりを表す、ということになります。
けいおん 継承の物語2そして、この話の基本時間(先輩の卒業直前)に戻る。後輩の梓は、この写真を見て感慨にふけるという場面。
先輩・唯らと後輩・梓の2年間の「始まり」をこの写真は物語っている。そしてこの日がけいおん部としての先輩と後輩の「終わり」である。(それは後で分かる)
「けいおん部」の先輩後輩が過ごした2年間は何だったのか。
楽器の演奏とは関係ない「ネコミミをつけたり」「コスプレをしたり」すること、そして「ケーキを食べ、紅茶を飲み、友だちと語らう」ということ。一見、たわいもないことだと思うが、ここでは大切なことなのだ。(過去記事で)
これが実は、クイント・イーストウッド編で見たような、「けいおん部」のイニシュエーション(手ほどき,手引き 秘伝を伝えること,伝授)、そして様々な入会儀式と同じことなのだ。(けいおん部のまったりとした試練に、梓は「私って試されているの」というセリフをよく言う。まさに「けいおん部魂のイニシュエーション」)
刑事の話なら刑事魂が、野球の話なら野球魂、それぞれの物語によって、先輩から後輩へ、年長者から若輩者へと様々な形でイニシュエーションされていく。
で、この物語「けいおん」で引き継がれていった魂とは何か。
つまり当たり前のことを、当たり前として楽しむこと、「日常」を「生きる」ことの本義を掴むことにある。(仏教的要素が秘められた深いアニメであることは前に書いたところ)
この「けいおん魂」が先輩から後輩へ継承されていったのだ。(まあ、ギャグメインの話だから伝わりにくいが、「ゴッドファーザー」編でみたように、様々な何気ないシーンでそれは表現されている)

けいおん 継承の物語3
今回は「卒業アルバム」がネタの話。つまり、写真=記憶→過去からの継承ということだ。

けいおん 継承の物語5

先生の卒業アルバムを見る。けいおん部の魂(!?)が引き継がれている。

けいおん 継承の物語4
そしてこれの少し前に、「卒業アルバム」がなぜ大事なのかを語るシーンがある。ここでは祖母から孫へというショットが入る。まさに語り継がれる「継承」。(映画・ポール・ニューマンの「暴力脱獄」の語り継がれる継承と同じこと)
けいおん 継承の物語6
唯らの過去の思い出の写真をなでる先生・さわ子の手。
けいおん 継承の物語 さわ子そしてこの表情。
思わず「ゴッドファーザー」の父から子への継承シーンを思い出す。
継承の物語その1 ハーラン・リーボ著「ゴッドファーザー レガシー」から『息子の将来に対するブランドの不安、権力を手放すことへの不安。息子に自分の役割を継がせることによる安心感と、自分が一線から退くことの寂しさ、こうした相反する感情がこの場面のカギとなるんだ……』。
まさにマーロン・ブランド級のいい表情なのだ。
先生・さわ子は何を見てこういう表情をするのか。それは、唯たちが、洗濯をしたり、食事を作ったり、掃除をしたり姿を見るからだ。これらすべて「日常」である。(カンフーの継承物語なら、弟子の上達した姿を見た師匠はこんな表情をするだろう、野球の継承物語なら、グランドで活躍する教え子を見た監督がこんないい表情をするであろう)
スターウォーズ編でいうところの「暗黒面に落ちることなくダースベーダーに勝ったルークを祝福するように現れる師・オビワンやヨーダのほほ笑み」なのだ。これは師から弟子へ魂の継承が行われたことを意味する。
ヨーダ オビワン 2「スター・ウォーズVI ジェダイの帰還」から。

さわ子の役目は唯らを卒業(大人への成長)に導くことにある。まさに「スター・ウォーズ」ジェダイの師弟の関係にあたる。
この保護者的視点で私もこの物語を見ている。(過去記事で)

「けいおん部」の受け継がれるべき魂は、日常の中にこそ大切なものがあるということである。
当初「武道館でコンサートを開く」ということがこの部活の壮大な夢だった。(普通のアニメやマンガなら、ウソでもこのこの夢をかなえさせてしまうだろう) しかし、学園祭でライブをすることで、彼女らは満たされてしまう。大事なものはなにか。日常の中に「武道館」(=大事なもの)があることを発見する、ここにこの物語の秘められた「テーマ」がある。

けいおん 継承の物語7
そして、さわ子らの同級生、つまりけいおん部のOGが現れる。
彼女らと入れ違うように、唯らはさわ子の部屋を出る。まさに継承だ。(ここも過去記事で)
この継承表現が素晴らしい。

そして、学校に帰った唯らは部室に向い、ドアノブに手をかける。(この回は「手」の描写が多い。先輩から後輩にかける手、級友の肩にかける手。手から結ばれる「絆」のような表現、こういう細かい描写がいい。)
けいおん 継承の物語12
外に出てきた梓を見ると、唯らは逃げるように駆け出す。あれほど親しんだ部室に入ることはないのだ。つまりここで継承の「終わり」を表現している。
けいおん 継承の物語8

「新歓ライブがんばれよ!」と先輩から後輩へ声援をかける。
思えば「この新歓ライブ」が出会いの切っ掛けとなった。これが継承物語の始まりであった。
けいおん 継承の物語9その後ろ姿に梓はギターを弾いて、先輩らを送り出す。かつて一緒に演奏した曲を後輩の梓のみが弾く。ここに魂の引き継ぎが行われたことを示す。「ゴッドファーザー」編でいうところの「父・ビトーが子・マイケルにワインカップを手渡す場面」になる。(ここも素晴らしい表現ですね)
けいおん 継承の物語10その廊下の先には光がある。(明るい未来を暗示する)
校庭に出ると、「ありがとう」の意味を込めて一同がお辞儀をする。

この一連の流れはまさしく「継承の物語」であり、「さわ子→唯たち→梓」へ魂が継承されていったことになる。

けいおん 継承の物語11
そして、ラストにみんなが空に跳ぶところの「写真」を撮るという場面で終わる。
「写真」で始まり「写真」で終わる。
何度も言うが「写真は記憶」であり、「魂の継承の記録」を意味するのである。

ということで、「けいおん」は「継承の物語」なのです。
だから、唯が高校教師になって(次の世代への継承する者となって)、けいおん部に戻ってくるという形がいいと思うのだが……。

さてさて、「継承の物語」はこれで終わりますが、資料編はまだまだ続きます。
なぜ今さら「けいおん」と思われたでしょうが、それなりに理由があります。
これら資料を集めて一つのアニメを解説したいと思っているからです。
しかし……。
このペースでは、そこまでたどり着けるか不安になってきました。


追記
やはりこのアニメは、空に何が描かれているか、これがいつも気になる。
けいおん 空
けいおん 空 2
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